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2026.08.25 07:30

メルク株は依然として割安か がんワクチン成功と新薬承認で成長加速

Sundry Photography - stock.adobe.com

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時価総額3680億ドル(約58兆4000億円)の製薬大手が、グロース投資家も顔負けの成績を上げると想像する人は少ないだろう。ところがこの1年、メルク(MRK)は73%という高いリターンを投資家にもたらし、S&P500種株価指数を上回った。株価は2026年8月19日に過去最高値をつけている。

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直近の急騰は何がきっかけだったのか

直接のきっかけは、モデルナ(MRNA)と共同で開発中のmRNAがんワクチン(mRNAベースの個別化ネオアンチゲン療法。患者一人ひとりの腫瘍がもつ遺伝子変異に合わせて設計し、免疫にがんを狙い撃ちさせる治療法)について、臨床試験が成功したことである。主要評価項目を達成する良好な結果が示され、がん領域で早期に収益化できるとの期待から、買いが大きく膨らんだ。

とはいえ、前日の発表は、より大きな戦略の一部が裏づけられたにすぎない。1年間の上昇を本当に支えてきたのは、株主を長年悩ませてきた最大の懸念に、メルクがどれだけ着実に手を打ってきたかである。その懸念とは、主力薬キイトルーダの特許が切れた後どうなるのか、という問いだ。

大型薬キイトルーダの独占販売期間が終わる日が近づいていることは、長年にわたって重い足かせとなってきた。経営陣はこの不安に対し、臨床試験と規制当局の承認での成果を切れ目なく積み上げることで応えてきた。パイプラインは目に見える成果を出しており、そのおかげで同社は、特許切れの崖っぷちに立つ企業から、安定した利益成長への確かな道筋を築きつつある企業へと姿を変えた。

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パイプラインは実際に何を生んだのか

転機となったのは、米食品医薬品局(FDA)がリプフェンドラ(Lipfendra。一般名エンリシチドデカン酸塩)を承認したことである。高コレステロール血症の成人に使える初の経口PCSK9阻害薬(PCSK9 inhibitor。血液中のLDLコレステロールを肝臓が回収する働きを妨げるタンパク質を抑え、悪玉コレステロールを下げる薬)であり、これまで注射剤が中心だった市場を塗り替える。臨床データによれば、この1日1回の錠剤は、スタチン(現在広く使われているコレステロール低下薬)と併用した場合、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を最大60%下げられる。

直近のmRNAがんワクチンのデータに加えて、メルクは子宮体がんを対象としたサシツズマブ・チルモテカン(sac-TMT)と、潰瘍性大腸炎を対象としたtulisokibart(ツリソキバルト)についても、第3相試験で良好な結果を報告している。膨らむ一方だったパイプラインへの不安は、確かな成功に置き換わった。研究開発のエンジンがなお高い生産性を保っていることが、そこに表れている。

新しい事業計画はどれほどの規模なのか

臨床データが固まってきたことを受け、経営陣はようやく将来の見通しを示した。20を超える新製品にまたがって、700億ドル(約11兆1000億円)超の売上機会があるという見立てである。キイトルーダの売上が抜けた後の穴ばかりを気にしてきた市場にとって、この数字は説得力のある反論となる。株価が大きく見直されたことは、ウォール街がこの見通しを自信をもって受け入れたことを意味する。

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翻訳=酒匂寛

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