女性とベンチャーキャピタル(VC)をめぐる議論は長年、ある1つの統計に集約されてきた。女性創業者が受け取るVC資金は全体の2%未満だという事実だ。しかし、この数字は物語の半分しか語っていない。
より大きな問いは、誰が資本を受け取るのかではない。誰が資本を握っているのかである。
女性たちがVCファンドを立ち上げ、エンジェル投資家となり、次世代の投資家を育成する動きが広がっている。彼女たちは既存のVCエコシステムへのアクセス拡大を待つのではなく、新しいエコシステムを自ら作り出している。それは資金提供の対象や、市場に届くイノベーションのあり方を根本から変える可能性を秘めている。
小切手を切る人を変える
VCは単に事業に資金を供給するだけではない。どのアイデアが企業へと成長し、どの起業家がスケールする機会を得るのかを決定づける。
She Angel Investorsの創業者であり、Show Her the Moneyの製作総指揮を務めるキャサリン・グレイによれば、起業の未来を変えるには、投資判断を下す人を変えることから始めなければならない。
「単に多くの女性が投資家にピッチできるよう手助けするだけでは不十分です」とグレイは筆者に語った。「意思決定の場に女性投資家がいなければならないのです」
彼女の見解は、VCの意思決定者に女性が増えるほど、女性創業者が投資資金へのアクセスを得やすくなるという研究結果によって裏付けられている。小切手を切る人こそが、どの事業が資金を得るかに影響を与えるのだ。
グレイは、投資家における代表性がなぜ重要なのかを示す例として、婦人科医のアニー・ムネス医師が開発した、再設計された医療用膣鏡のようなイノベーションを挙げる。「女性は女性に共感します」と彼女は語り、投資家は自分自身が理解できる課題に自然と引き寄せられると指摘した。
新たなVCエコシステムを築く
従来のVC業界がより包摂的になるのを待つのではなく、女性たちはまったく新しいものを築き上げているとグレイは考えている。
「私たちは間違いなく、自分たちのVCシステムを構築しています」と彼女は語る。「旧来の男性中心の世界は私たちを入れてくれませんし、そもそも私たちも彼らのシステムの一部になりたいとは思っていません。彼らのシステムは優れたものではないからです」
彼女は先駆者として、How Women Investのジュリー・カストロ・エイブラムス、Red Clover Fundのニッキー・ケント、125 Venturesのロリーン・ペンドルトンらを挙げ、北米には300を超える女性が創業したVCファンドが存在すると指摘する。
進展はなお緩やかだが、VCの意思決定者に占める女性の割合は着実に増えており、多様な創業者やアイデアが資金を得る機会を広げている。
教育こそが欠けている環
グレイは、最大の障壁の1つは資本へのアクセスではなく、知識へのアクセスだと考えている。
「多くの女性がそもそもVCとは何かを知りません」と彼女は語る。「それが選択肢の1つであることすら教わってこなかったのです」
この思いから生まれたのが、ストーリーテリングを通じてVCをより身近なものにするドキュメンタリー『Show Her the Money』だ。彼女はさらに、この映画とオンライン講座、ケーススタディ動画を組み合わせた「VC 101 College Experience」も立ち上げている。このプログラムは学生に対し、キャリアパスとして、また資金調達・投資の道としてのVCについて教えるものだ。
Girls into VCという団体は、若い女性たちにVCの世界を紹介している。同団体は、この秋学期にバブソン大学で正式にスタートするVC 101講座のベータ版試験を実施した。今後は全米の学校に展開していく予定だ。
目的は単に女性創業者を増やすことではない。資本を配分する女性を増やすことである。
アイデアではなく成長に資金を
グレイはまた、創業者は資本について異なる考え方をする必要があるとも述べている。
助成金やピッチコンテストは貴重な露出の機会になり得るが、ベンチャーとしてスケールする企業を築くには、それだけでは十分でないことがほとんどだ。「ピッチイベントの良い点は、たいてい会場にあなたの会社に直接投資できる投資家がいることです」とグレイは語る。「それは助成金そのものより、はるかに価値がある場合があります」
創業者は賞金だけに目を向けるのではなく、こうしたイベントを、将来の資金調達ラウンドを支えてくれる投資家との関係を築く機会として捉えるべきだ。
彼女はまた、SoGal Venturesのような企業も挙げている。同社が意義ある投資と追加投資(フォローオン)にコミットしていることで、創業者はただ生き延びるのではなく、スケールするための滑走路を得られるという。
グレイの言葉を借りれば、「女性はもっと大きく考えなければならない」のだ。
結論
VCの未来は、より多くの女性が資金を調達できるようにすることだけにあるのではない。より多くの女性が資本を「握る」ようにすることにある。
投資家、ファンドマネジャー、資本配分者となる女性が増えるにつれ、どの企業が資金を得るのか、どのアイデアがイノベーションの未来を形づくるのかに対する女性の影響力は大きくなるだろう。
VCの小切手を切る人を変えることこそ、起業のあり方そのものを変える最も強力な方法となるかもしれない。



