週末のあいだに、ある公衆衛生機関のリーダーは、予算が半減したという知らせを受け取る。月曜の朝までに、彼女はそのニュースを消化し、予期せぬ困難で不満の募る時期をチームとともに乗り越えるべく準備を整えて出社しなければならない。チームは方向性を必要としている。保健部門のスタッフは、地域社会がどのような影響を受けるかについて答えを求めるだろう。彼女は、思慮深さと緊急性、共感と実用性、そして弱さを見せることと自信を示すことのバランスを取る必要がある。
州・準州保健当局者協会(ASTHO)でリーダーシップ開発プログラムのディレクターを務めるラトーヤ・サハデオにとって、これはプログラムの参加者たちが実際に直面している課題である。「こうした状況こそ、感情インテリジェンスを単なるリーダーシップの『おまけ』として扱ってはならない理由だ。感情インテリジェンスの基礎は、危機が訪れる前に築いておかなければならない」とサハデオは語る。
公衆衛生の分野では、予期せぬ複雑な変化(新型コロナウイルス、ハンタウイルス、予算削減など)が日常茶飯事である。「臨機応変に行動し、常に備えておく必要がある」とサハデオは筆者に語った。「その強さと自信は内面から湧き出るものであり、私はそれが感情インテリジェンスの力であると確信している」
感情インテリジェンス(EI)と変化への対応力の関係について、サハデオの指摘は的を射ている。人材開発の専門家を対象とした60回以上のインタビューにおいて、変化を乗りこなす能力は、感情インテリジェンスの研修やアセスメントを導入する最大の理由の一つとして挙げられている。
公衆衛生のリーダーシップにおいて、専門知識は入り口にすぎず、昇進を決めるのはEIである
ASTHOは、州および準州の公衆衛生部門の活動を支援し、国全体の公衆衛生政策を強化することに尽力する非営利団体である。サハデオの説明によると、同会は各州やワシントンD.C.、5つの米国領、3つの自由連合州の主席衛生官を支援する会員制組織であり、公衆衛生部門内のスタッフもサポートしている。
「DELPH(Developing Executive Leaders in Public Health)プログラムの受講生は、公衆衛生のさまざまな分野から集まっている」とサハデオは言う。「しかし、チームを前進させる原動力になるのは、実のところ専門知識ではない。対人スキルとリーダーシップスキルだ。人はまず何よりも『人』なのだ」
この言葉は、公衆衛生におけるリーダーシップの現実を捉えている。リーダーは政策や助成金、プログラム、感染症の発生などを管理しなければならないが、同時に、恐れや不確実性、誤情報、そして疲弊にも対処しなければならないのだ。
経営幹部に昇格する前にリーダーを育成する「DELPHプログラム」
リーダーたちがこうした感情インテリジェンスのスキルを身につけられるよう、サハデオとそのチームは、ASTHOの「公衆衛生におけるエグゼクティブリーダー育成プログラム(DELPH)」を立ち上げた。これは、スーパーバイザー、マネージャー、プログラム責任者、課長、ユニット責任者、局長など、人材や政策、プログラムに責任を持つあらゆるリーダーを対象とした10カ月間のプログラムである。
「私たちはミドルリーダーの育成を目指している」とサハデオは述べ、対象となる参加者は「まだ経営幹部には達していない」ものの、現在の役割で優れた業績を上げており、将来の幹部昇進に備えてリーダーシップスキルを確立したいと考えている人物だと説明する。
各コホート(同期グループ)は通常15〜30人ほどの受講生で構成される。10カ月間のプログラムには、毎月3時間のセッションに加え、コーチング、セッション間の課題、個人アセスメント、アカウンタビリティ・パートナー(相互に目標達成をサポートする相棒)との面談などが含まれる。サハデオは受講生に対し、リーダーシップ開発に毎月約20時間を費やすよう伝えている。
カリキュラムは、リーダーが「自分自身のリーダーシップ・アイデンティティを確立する」ことを支援するよう設計されている。リーダーがアイデンティティについて考えるとき、自己認識、自己管理、共感といった感情インテリジェンスについて考えざるを得ないと彼女は説明する。「これらすべての要素が、効果的なリーダーを形作る土台となる」
感情インテリジェンスは、プログラムの後付けではなく、全体に織り込まれている。カリキュラムには、エグゼクティブ・プレゼンス、プロフェッショナル・ブランディング、影響力、レジリエンス、葛藤の解決、ストーリーテリング、障害やアクセシビリティへの意識、アライシップ(支援者としてのあり方)などのテーマが含まれる。サハデオによると、毎月のワークショップに感情インテリジェンスの要素を取り入れることで、受講生が今後のリーダーシップの歩みにおいて活用できる土台を築いているという。
学びを定着させる徹底的なフォローアップ
DELPHプログラムが人材開発の分野で際立って効果的である理由は、学びを実務に定着させる(プルスルー)ための綿密な設計にある。
対面でのサポートとして、受講生には同期グループ、同期から選ばれるアカウンタビリティ・パートナー、サハデオのチームから配属されるメンター、そしてプロのエグゼクティブコーチが用意されている。このように、それぞれ異なる視点を持つ複数のグループと関わることで、ソーシャルラーニング(社会的学習)が促進される。
内省、実践、フィードバック、そして職場での応用が、すべて学びを行動変容へと結びつける役割を果たす。例えば、受講生は自己認識ジャーナルを作成し、自身の感情やその引き金、状況、反応について振り返る。また、録画した動画をもとに互いにフィードバックを行う。「受講生はパートナーと一緒に動画を見返し、自身のエグゼクティブ・プレゼンスについて話し合う」とサハデオは説明する。
月単位で見ると、ワークショップが受講生の活動時間に占める割合はわずか15%にすぎない。残りの85%は、ソーシャルラーニングや実践、応用にあてられている。
優れたリーダーシッププログラムは、リーダーがその瞬間に必要とするものに応える
DELPHは、リーダーのリアルタイムのニーズに意図的に対応している。サハデオによると、このプログラムは「反復的(イテレーティブ)なプログラム」として設計されており、プログラムの半ばで受講生が新たに学びたいプログラムやタイムリーなスキル、あるいは職場で直面している課題を共有する。
最初の6カ月間はほぼ固定されており、EIなどの基礎スキルに焦点が当てられる。最後の4カ月間はより柔軟である。「最後の4カ月間は、受講生自身がどこをどのように伸ばしたいかを主体的に決定できるようにしている」とサハデオは言う。
そのフィードバックに基づいて、対面式のカンファレンスや、プログラムの締めくくりとなるリーダーシップ・マイクロカンファレンスなどの内容が構築される。受講生が予算管理に関するサポートを望めば、予算や契約合意に関する専門家を招くこともある。対立の解消について深く学びたい場合は、セッションを追加する。キャリアの転換や退職戦略についての疑問が出れば、それらのニーズに応じた演習、ワークショップ、コーチングを企画する。
危機が訪れてからではなく、平時にEIを育む
リーダーの育成に取り組む組織にとって、サハデオのチームから得られる教訓は明確である。それは、早い段階で自己認識を培い、リーダーにフィードバックを惜しみなく与え、学びを反復的なものにし、プログラムをリーダーが直面する現実のプレッシャーに即したものに保つことだ。
サハデオが最後に振り返ったように、感情インテリジェンスに「休みの日」はない。それはリーダーが毎日実践し続けなければならないものである。
ケビン・クルーズは、感情インテリジェンスの研修会社であるLEADxの創設者兼CEOである。また、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家でもある。心理学的に検証され、4つのコアスキルのスコア内訳がわかる無料のEIアセスメントをこちらから受けることができる。



