夏の間はおおむね横ばいで推移していた貴金属価格がここへ来て上昇に転じている。金(ゴールド)価格は米国時間8月21日、3カ月ぶりの高値を、銀(シルバー)価格は2カ月ぶりの高値を記録した。この動きの主な要因として、アナリストらはドル安に加え、米財務省が長期国債の買い戻しを拡大すると発表したことを挙げている。
金・銀とも価格上昇、ドル安と米国債買い戻しが追い風
金先物は21日、約2%上昇し、5月中旬以来の高値となる1トロイオンス4661.70ドルを記録した。銀も同様に約2%上昇し、1トロイオンス70.08ドルとなり、6月中旬以降初めて70ドルを超えた。両金属とも今週は約5%高で引く見通しで、価格に動きがほとんど見られなかった夏の停滞期を経て、上昇基調にあるようだ。
デンマークの新興金融機関サクソバンクのアナリスト、オレ・S・ハンセンは21日、X(旧ツイッター)に、ドル安が貴金属価格上昇の主な要因の1つだと投稿した。ドル指数は約0.02%とごくわずかに下落しているものの、3カ月ぶりの安値付近で推移している。スイス金融大手UBSの主席ストラテジスト、バヌ・バウェジャは米ブルームバーグ通信に対し、貴金属価格の上昇は、米財務省が10年~30年物の国債の買い戻しを倍増すると発表したことが一因だと語り、この動きは「金にとって極めて重要な合図」だと述べた。
金は第2四半期に16%下落、8月は週間ベースで7カ月ぶりの大幅高
金と銀は年初に記録した史上最高値から大きく下落しており、夏の間、金は4000~4200ドル、銀は50~60ドルの間で推移していた。金は第2四半期(4~6月期)に16%の価値を失った。同時期、金と銀は7カ月ぶりの安値まで下落し、1月に終焉を迎えた歴史的な価格上昇局面で得た上昇分の一部が失われた。アナリストらは夏の価格低迷の要因として、強含みだったドルや、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年中に利上げを行う可能性があるとの見通しなどを挙げた。だが、今月に入り金と銀は再び上昇に転じ、金は週間ベースで7カ月ぶりの大きな上昇率を記録した。
FedWatchによる12月の利上げ確率は70.9%
FRBは今年後半に利上げに踏み切る可能性があり、実施すれば通常、金や銀の価格は下落する。米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが提供するFedWatchによると、FRBの12月の会合で利上げが実施される確率は約70.9%(米国版記事掲載時)で、9月や10月の会合での利上げ確率を大きく上回っている。
1月下旬、金は5600ドル前後、銀は121ドル前後まで上昇し、史上最高値を更新した。価格を押し上げた要因としては、国際情勢の緊張やドナルド・トランプ米大統領による関税措置、利下げ、ハイテク分野からの金属需要の増加などが挙げられる。
トランプ大統領が1月30日、FRB議長にケビン・ウォーシュ元理事を指名すると、同元理事は利下げに消極的と見られていたことから、貴金属価格は下落した。米国がイランに攻撃を開始して以降、貴金属価格はおおむね下落している。これは原油価格が急騰したためだ。金属価格は通常、原油価格と逆相関の関係にある。



