消費者より先に、AIが受信箱のメッセージを読む
消費者へメッセージを送ることを生業とする人々にとって、今回のプラグインにはもう1つ別の意味がある。テキストメッセージ、ダイレクトメッセージ、電子メールが集まる受信箱は、AIアシスタントが自らの有用性を証明する場になりつつある。スレッドを要約してくれ。返信が必要なものを教えてくれ。これには代わりに答えておいてくれ。
メッセージと読み手の間にAIの層が入り込んだ時点で、注意を引くための規則は変わる。人間なら流し読みしたはずの販促メッセージは、1行の要約へ圧縮されるか、「対応が必要」と分類された束からそもそも外される。マーケターはこの10年、受信箱での表示位置と、開封前に見えるプレビュー文の最適化に力を注いできた。次に最適化の的となるのは、アシスタントによる選別を自社のメッセージがどう生き延びるか、つまりアシスタントが表示する価値ありと判断するかどうかである。
受信箱をめぐる変化は、今回のプラグイン1つで決着するものではない。ただ、業界全体の向きは一貫している。アシスタントは質問に答える存在から、やりとりそのものを担う存在へ移りつつある。受信箱を読むAIを押さえた企業が、受信箱を流れる消費者の注意を実質的に押さえる。
AI各社は、利用者が手放さないメッセージ機能を狙う
主要なAI企業はいずれも、人々がデジタル上の生活を管理するとき必ず経由する層になろうと競い合っている。なかでもメッセージは、利用者が最も手放しにくい機能だ。アップルの了解を得ないまま、しかも訴訟の最中にOpenAIがiMessageへ手を伸ばした事実は、この機能の主導権をめぐる争いがどれほど激しいかを示している。
アップルに突きつけられた課題は、Siriの独占を守っているように見せずに、プライバシーというブランドを守ることだ。マーケターが受け取るべき教訓は、より手前の段階にありながら、より大きい。文面を届ける相手の消費者は、近いうちに、届いたメッセージをAIに先に読ませているかもしれない。


