検索エンジンの1ページ目に載るかどうかが、企業の集客を左右してきた。現在はそこに、もう1つの土俵が加わっている。ChatGPTやGoogleのAIが答えを返すとき、その中で自社が引用されるかどうかである。ChatGPTには、質問に答える過程でウェブを検索し、参照したページを引用元として示すChatGPT Searchという機能がある。マーケティング業界はこの新しい土俵での取り組みをGEO(生成エンジン最適化)と呼び、予算と人員を割き始めた。
新しい土俵で最大の勝ち組が、米国最大級の掲示板型サイトRedditだった。生身の利用者による書き込みが260億件超たまっており、2026年4月にはChatGPTが最も多く引用するサイトになっていた。
その座が、2026年8月にわずか数日で消えた。引用元に占めるRedditの割合は3.8%から0.5%へ落ちた。OpenAIは説明していない。多額の投資が動く新市場が、1社の予告なき仕様変更で揺らいだ事例である。
4月には最多だったRedditの引用が、0.5%まで落ちた
ChatGPTは、Redditを既読スルーしているのだろうか。
AIの回答がどのサイトを引用しているかを計測するPromptwatchのデータに基づき、米テクノロジーメディアのGizmodoが報じた。それによると、ChatGPT Searchが示す引用元のうちRedditが占める割合は、わずか0.5%まで落ち込んだ。下落は突然だった。Redditは米国時間7月18日から8月7日まで、引用元に占める割合を平均3.8%で保っており、これはウェブ上のどのサイトと比べても最大級の水準だった。ところが8月14日には1%を割り込み、8月14日から17日までの平均は0.52%、下落率は86%に達した。
0.5%という水準がどれほど低いかは、4カ月前の数字と並べると分かる。2026年4月時点で、RedditはChatGPT Searchが最も多く引用したサイトであり、引用元の全体の4.14%を占めていた。
ChatGPTが特定のサイトを直接検索し、Redditの引用が急減
Redditの急落は、ChatGPTがウェブを検索する方式に加えられた技術的な変更にさかのぼる。Promptwatchの観測によれば、8月8日、ChatGPT Searchは検索範囲を1つのサイトに限定する「site:」演算子を大量に使い始めた。回答を組み立てる裏側でChatGPTが実行する検索のうち、特定のサイトに絞った検索が占める割合は、1日のうちに0.37%から16.8%へ、およそ46倍に跳ね上がった。同時に、回答1件あたりの検索回数も平均約1.08回から1.83回へとほぼ倍増した。
平たく言えば、ChatGPTはこれまで、ウェブ全体を検索して返ってきた結果を見るやり方を主軸に置いていた。現在は、必要な情報を取りにいくために、特定のサイトへ直接出向く場面が大幅に増えている。Redditが引用元に占める割合は、変更と同じ8月8日に3%台後半から2%台半ばへ滑り落ち、そして8月14日に崩落した。
OpenAIは沈黙し、Googleの検索では同じ急落が起きていない
OpenAIはこの変更について説明しておらず、Gizmodoのコメント要請にも応じなかった。Promptwatch自身も、自社のデータから分かるのは変化が起きた時期だけであり、なぜ起きたのかまでは分からないと慎重に断っている。データ収集の側に不具合があった可能性も、完全には排除できないという。Redditの広報担当者はGizmodoに対し、別の調査ではRedditが最も多く引用されるサイトの1つであり続けていると述べた。そのうえで、Redditは訪問者の獲得を大規模言語モデル(LLM)に頼っておらず、大半は直接アクセスと通常の検索エンジン経由だと説明した。
目を引くのは、この急落がChatGPTだけに起きている点だ。GoogleのAIによる概要(AI Overviews)でRedditが占める引用の割合は、7月初旬の約2.5%から8月の約2.1%へ緩やかに下がっただけだった。Google検索のAIモードでも、同じようにゆるやかな低下が続いている。



