その他

2026.08.31 13:01

人類が地球外生命体を発見したら、次に何が起こるか──科学・安全保障・リスク管理

stock.adobe.com

stock.adobe.com

人類が歩んできた歴史の大半で、宇宙に自分たちしかいないのかという問いは、ほぼ哲学と神学、そしてSFの領分にとどまってきた。現在、この問いは科学、安全保障、リスク管理と結びつくようになっている。

大きく変わったことがある。地球の外に生命を探す人類の能力は高まり、各国政府は空と宇宙で説明のつかない観測結果を調べることに、以前よりも開かれた姿勢で真剣に取り組むようになっている。

NASAは公式の未確認異常現象(UAP)研究に着手し、米政府はUAPに関するデータの公開と分析を続けている。最近の報道からは、米政府が新たに情報公開へ動き、UAPのデータへ科学者の関心が集まっている状況が浮かび上がる。そしてハーバード大学の天体物理学者アヴィ・ローブが、ホワイトハウスの新設したUAP科学諮問委員会(UAP Science Advisory Council)の委員長に任命された。UAPの正体をどう解明するかを米政府へ助言する組織である。ローブはデータ科学や観測機器から、生物学、海洋学、人類学、心理学に至るまで、幅広い分野の研究者を集めたチームを築いた。

NASAの研究も、米政府による情報公開も、ローブの起用も、探究へ向けた前向きな1歩である。だが私にとって最も引きつけられる問いは、異星の知性が存在するかどうかだけではない。異星の知性が存在すると示す強い証拠を人類が手にしたとき、何が起きるのかである。地球外生命が実際に発見されれば、人類史上最も重要な科学的出来事になりうる。同時に、人類がこれまで直面したどれよりも重大な安全保障上の難題にもなりうる。

火星で微生物が見つかる段階と、知的文明と接触する段階は異なる

火星で微生物を見つけること、太陽系外惑星の大気に生命の兆候(バイオシグネチャー)を捉えること、人工的な電波信号を繰り返し受け取ること、地球外の人工物を発見すること、そして知的な社会と直接接触すること。5つはまったく別の事柄であり、科学と社会に与える動揺の度合いもそれぞれ異なる。

5つを区別しなければならないのは、何かを発見したからといって、ただちに公表されるわけではなく、公表されたからといって、相手と接触するわけでもないからだ。科学的な観測結果は、第三者が独立して確かめられる。信号は評価にかけられる。人工物であれば、研究の対象にできる可能性がある。接触だけは、性質がまったく異なる。

接触は、人類の安全保障を成り立たせてきた計算に、人間以外の知性という項目をもう1つ書き加える。人間以外の知性が相手に加わった事態へ対処した前例は、歴史上ほとんど存在しない。

次ページ > 相手が平和的な文明なら、医療が最も大きな恩恵を受ける

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事