AI経由で旅行サイトに来た人は滞在時間が67%長く、途中離脱は42%少ない
アドビの分析は、オンライン上で実際に成立した取引を集計したもので、米国内にある小売りサイトへの訪問1兆回超を対象とする。この分析では、AI経由で旅行サイトに到達した消費者は、AI以外から来た消費者と比べ、サイトへの関与度を示すエンゲージメント率が21%高かった。サイト滞在時間も67%長く、1ページだけ見て離れた訪問者の割合を示す直帰率は42%低かった。
調査に答えた消費者の84%が、AIを使うと旅行計画は良くなったと答えた
アドビは、こうしたデータ分析に加え、米国に住む消費者5000人超を対象に、AIをどう使っているかを尋ねる調査も行った。旅行計画にAIを使ったことで体験が良くなったと答えた人は、回答者の84%に上った。
消費者が予約や購入の判断でAIへ傾いていく速さは、旅行でも小売り全体でも驚くほどだとパンディヤは言う。「我々が見ているものはすべて、2年に満たない期間で起きている」「この水準まで普及が進んだこと自体、かなり驚くべきことだ」
AIが消費者に人気の下調べ手段になること自体は予想されていた。だがパンディヤは「実際に進んだ速さこそ、我々が最も驚かされた点だ」と話す。「消費者がAIをどれだけ受け入れるようになったか、そして技術が利用者の期待にどれだけ応えられるようになったかを示している」とも述べた。
伸びを支える鍵は、消費者がAIに寄せる信頼が厚くなっていることにある。AIから返ってくる情報は正確だと考える消費者が増えている。
小売りでもAI経由の訪問が62%増え、購入に至る割合はAI以外を上回った
小売り全体を見ると、米国の小売りサイトへAI経由で流入した訪問は、2026年7月に前年同月比62%増えた。2024年10月と比べれば1219%増である。2026年7月もAI経由で訪れた人は、AI以外から訪れた人より購入に至る割合が高く、その差は60%に達した。AI経由が上回った月は、これで11カ月連続となる。
購入や予約を後押しする上でAIが重要な役割を果たしているにもかかわらず、多くの旅行サイトや小売業者はAIから見えにくい弱点を抱えたままだと、アドビは報告書で指摘する。
アドビが提供する診断ツール「AI Content Visibility Checker」は、ウェブページを解析し、大規模言語モデル(LLM)を使うAIチャットサービスやブラウザーが読み取れない箇所を洗い出す。このツールはページを100%満点で採点する。たとえば50%という点数なら、そのページに載る内容の半分を機械が読めないことを意味する。
AIが読み取れる内容はホテルで71%、航空会社は42%にとどまる
米国の旅行業界では、ホテル各社のトップページが平均71%と採点された。裏を返せば、掲載内容のうち25%超がLLM向けに最適化されていない。点数はクルーズ会社が70%、レンタカー会社が64%と下がり、航空会社は42%にとどまった。
「旅行業界は、旅行者を引きつける豊かなビジュアルに力を注いできた。だが今回のデータは、機械が容易に読み取れる詳しいテキストを備える重要性を示している」とアドビは報告した。
小売り全体では、トップページを採点した平均点が61%だった。トップページに載る内容のうち4割近くを、LLMが完全には読み取れない計算になる。


