成果だけでなく、成長軌道に投資する
現在の成果が将来の可能性を測る最善の指標であるなら、人材に関する判断は簡単だ。最も成果を上げている人を見つけ、そこに大きく投資すればよい。
しかし、リーダーとしての可能性はめったにそこまで単純ではない。
2人の社員を考えてみよう。前者は一貫して優秀だが過去3年間の成果は横ばい。後者は現時点での実績こそ劣るものの、この1年間で急成長を遂げている。次の機会にふさわしいのはどちらだろうか。
多くの組織は1人目を選ぶ。卓越性は、加速する成長よりも見つけやすいからだ。
しかし、2人目にもっと注意を払うべきだという強い理由がある。
学習志向に関する研究は、積極的にフィードバックを求め、新しいやり方を試し、能力は伸ばせるものだと捉える人ほど、状況が変化したときに適応しやすいことを示唆している。そうした特質は、答えが明確ではない役割に移るほど価値を増す。
したがって、可能性を示す有用なシグナルは、単にその人が今日どれほど優れているかではない。どれほどの速さで良くなっているかである。
フィードバックを与えた後の反応を観察してみよう。その人は防御的になるのか、好奇心を示すのか。6カ月後に同じ会話をしているのか、それともすでに変わっているのか。できないことに直面したとき、評判を守ろうとするのか、学び始めるのか。
成果は、その人がいまどこにいるかを教えてくれる。
成長軌道は、その人がどこへ行き得るかを教えてくれる。
自己投資を怠らない部下こそ、リーダーが投資すべき対象だ
リーダーが見落とすことのある、もう1つのシグナルがある。相互性である。
育成は、双方がそこに貢献しているときに最もうまくいく。マネジャーは助言や機会、人脈の紹介を提供できる。だが最終的には、社員自身がそれを生かさなければならない。
2人を成長のための難しい任務に推薦したと想像してみよう。1人は数カ月後、まずまずの仕事をして戻ってくる。もう1人は仕事をこなし、フィードバックを求め、そのプロジェクトで出会った人たちと関係を築き、その経験を使ってさらに別の機会をつくる。
2人目の社員は、当初の投資を何倍にもしている。
主体的行動に関する研究では、積極的にフィードバックを求め、自ら動き、自分の役割を形づくる社員ほど、キャリアで成功しやすいことが示されている。彼らは育成が自分に降ってくるのをただ待っているわけではない。自ら育成をつくり出すことに参加している。


