Forbes JAPAN 2026年10月号は、「世界を変える30歳未満」30人特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が2011年より開催し、『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。BUSINESS & SOCIAL & LOCAL部門で選ばれたのが、NPO法人うみのこてらす理事長の川邊 笑だ。
人口が減っても、支援はなくしてはいけない─。その思いから、徳島の過疎地から誰ひとり取り残さない「地方子ども支援モデル」の実現に挑む。
徳島県牟岐町。人口約3200人の漁師町は、高齢化率が50%を超える。この町を起点に、さまざまな生きづらさを感じる子ども・若者たちに「第三の居場所」を届けているのが、NPO法人「うみのこてらす」だ。
代表の川邊笑は、この町で保育園から中学までクラス替えがないなかで過ごした。固定されたコミュニティに窮屈さを感じ、高校進学を機に町を出ると、教師を目指し筑波大学へ進学。入学後は学習支援ボランティアに参加し、経済的困窮世帯や不登校の子どもに勉強を教えた。その後コロナ禍に入り、やむなく帰郷。「今自分がやれることは、子どもの居場所づくりかもしれない」。そう考えた川邊は公民館を借りて4日間限定の子どもの居場所を開設。お菓子を囲みながら大学生と自由に過ごせるスペースとして開放すると、20人ほどの子どもたちが集まってきた。4日間の手応えが、その後の活動の原点になった。
2020年に活動を開始し、23年に法人化。7年目の現在は、対面拠点の運営、オンライン支援、訪問支援を組み合わせて実施している。徳島市内では、中高生が学校帰りに立ち寄れる「ゆうてらす」を、海部地区では学校に行きづらい小学生から高校生を対象とした「われもこう」を運営。拠点に来られない子どもには家庭訪問支援なども行いながら、相談の機会をもつ場所としても活用している。
支援してきた子どもの数は約1000人に達し、拠点に通うことで学校の出席扱いとなる連携校は15校に増えた。
これまでボランティアや食材の寄付等、地域の力に支えられながら活動を広げてきたが、課題は資金調達だ。オンライン学習支援を一部有償化し、企業や行政と費用を分かち合う仕組みづくりも始めた。その先に描くのは、人口が少ない地域でも持続可能な支援体制を築く「徳島モデル」の確立。全国の団体と連携し、人口規模に応じた子ども施策を国へ提言、予算化につなげることを目指す。「支援があって選ばないのと、なくて選べないのとは違う。全国には牟岐と同じような過疎地があります。この町で実現できたことは、全国のモデルになる可能性があると信じています」
かわべ・えみ◎2000年生まれ。大学1年時から困難な状況にある子どもたちに学習支援や居場所支援を行う認定NPO法人Learning for Allで活動。サポート体制に地域間格差があることを感じ、2023年10月に地元徳島県で一般社団法人「うみのこてらす」を設立。26年NPO法人へ移行。
ワンピース220000円/フルタ(ジョワイユ Tel:03-4361-4464)、ピアス2200円/ゴールディ Tel:0120-390-705、その他スタイリスト私物




