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食&酒

2026.09.04 17:45

HYDEが巨匠らを束ね、セッションしたワイン。カリスマと職人性の「組曲」はどう鳴るか

ミュージシャン HYDE プロデュースのワイン

ミュージシャン HYDE プロデュースのワイン

最新のOIV(国際ブドウ・ワイン機構)の発表によれば、2025年の世界のワイン消費量は過去最低水準まで落ち込んでいるという。しかしここ日本は、昨年消費量が伸びた数少ない国の一つだ。ワイン文化が成熟し多様な楽しみ方が定着しつつある日本市場。いま新たな旋風として注目を集めているのが、トップアーティストによるワインビジネスへの本格参入である。

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かつて見られた単なる「記念品」やファン向けのタレントグッズ的アプローチから、現在は一流の生産者とタッグを組み、アーティスト自身の哲学を液体へと昇華させる「第2フェーズ」へと移行しているといえるだろう。例えば、長年カリフォルニアでワインを手掛けてきたYOSHIKI氏が、北海道・余市の「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我貴彦氏を監修に迎え、ピノ・ノワールで日本のテロワールに挑む新プロジェクト。あるいは、ブラッド・ピット氏が南仏「ミラヴァル」の成功を皮切りに、シャンパーニュの名門ピエール・ペテルスらと立ち上げたロゼ特化メゾン「フルール・ド・ミラヴァル」。こうしたアプローチは、もはや一過性の話題性にとどまらず、著名人ワインの新たな潮流として確かな市場基盤を築きつつある。

そうした中、注目のラグジュアリー・ブランドとして刮目したいのが、ミュージシャンのHYDE氏が立ち上げた『VAMPROSE - HYDE WINES -』だ。従来のワインファンはもちろん、これまで馴染みのなかった層をもワインの世界へと引き込む、強力なフックとなりうる存在といえる。

巨匠たちを束ねるタクト。直感と職人技のセッション

本プロジェクトの特異性は、圧倒的な美意識を持つアーティストが「プロデューサー」となり、世界的な巨匠たちを巻き込んでタクトを振るった点にある。

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「THE MIRROR OF HYDE(HYDEを映す鏡)」というコンセプトのもと集結したのは、カリフォルニア・カベルネの完成形を築いた元シルヴァー・オークのダニエル・バロン氏、気鋭の日本人女性醸造家・平林園枝氏(シックス・クローヴズ代表)、そして名門シャンパーニュ「パルメ」のCEO、レミ・ヴェルヴィエ氏という異例の布陣だ。

(発表会に登場した阿部誠ソムリエ、平林園枝氏、ダニエル・バロン氏ご夫妻、司会の望月理恵氏)
発表会に登場した阿部誠ソムリエ、平林園枝氏、ダニエル・バロン氏ご夫妻、司会の望月理恵氏

構想から完成まで3年超。プロジェクトが最も緊迫した山場を迎えたのは昨年秋のことだ。飛行機トラブルに見舞われ、予定していた2泊の滞在がわずか1泊の強行軍となった米ナパヴァレーでのブレンド・セッション。過密なツアーの合間を縫って現地に降り立ったHYDE氏を前に、用意されたサンプルが彼の求める理想にわずかに届かない瞬間があった。

その時、巨匠バロン氏が突如メスシリンダーを取り出し、即興で原酒の比率を微調整したという。「これならいける」──HYDE氏が頷いたその瞬間、そこにはきっと、アーティストの研ぎ澄まされた直感と、醸造家の緻密な職人技が火花を散らす、熱を帯びたジャズ・セッションのような空気が流れていたに違いない。

平林氏は当時を振り返り、「HYDE氏がもしワインメーカーになったら、素晴らしい造り手になるはず。それだけ本能的に良いもの・悪いものを見分けるセンスを持っている」と舌を巻く。

妥協なき追求の裏には、「自分が普段から飲みたいと思える味でなければ、造る意味がない。責任が持てないからこそ、少しわがままを言わせてもらった」というHYDE氏の言葉通り、自らの名を冠するプロダクトに対するプロデューサーとしての強いこだわりと誠実さが窺える。

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写真=田中明子

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