経済・社会

2026.08.24 10:06

世界的な出生率の崩壊が、成長とVCの投資仮説を揺るがす

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2026年時点で、人類の出生率は、自らを再生産するのに必要な水準をおそらく下回った。戦争でも感染症の大流行でも起きなかった、史上初めての事態である。経済学者のヘスス・フェルナンデス=ビジャベルデとパトリック・ノリックは、今月公開した新たな論文でこの見立てを示した。両氏によれば、出生率の低下が集中しているのは低・中所得国の貧しく学歴の低い女性であって、人口学者が長らく低下の先頭に立つとみてきた富裕国ではない。

ロボット新興企業に約2.97兆円、2025年通年を上回る

この論文が出たのは、ベンチャー投資家がすでに人口動態リスクをリターンの試算に織り込み直しつつある時期である。ロボティクス分野の資金調達額は2026年半ばまでで世界188億ドル(約2兆9700億円)に達し、2025年通年の150億ドル(約2兆3700億円)をすでに上回った。フィジカルAI(physical AI。ロボットなど現実世界で動く機械に組み込まれたAI)は、今やベッセマーをはじめとする投資会社の看板テーマである。同社の投資先には、評価額600億ドル(約9兆4800億円)のアンドゥリルや、17億5000万ドル(約2765億円)を調達したサロニックが名を連ねる。

日本・韓国・中国でロボット導入が進み、介護向け投資の動きは鈍い

運用会社のヴァンエックは、高齢化がリショアリング(生産拠点の自国回帰)と自動化需要を直接押し上げる要因だと位置づける。ピクテは、日本・韓国・中国のロボット密度を労働者1000人あたり40台とし、世界平均のおよそ4倍に当たると指摘する。一方、高齢者ケアへの資金の動きは鈍い。メドシティ・ニュースが取材したエイジテック(AgeTech。高齢化に対応する製品・サービスの技術分野)の投資家たちは、この分野はまだ黎明期にあり、収益モデルが確立していないと述べている

236カ国・地域のうち219で低下、下げ止まりは1つもない

両氏は主張の裏づけとして、1950年までさかのぼる236の国・地域のデータに単一因子モデル(single-factor model。出生率の動きを、世界に共通する1つの要因と国ごとの要因に分けて説明する統計手法)を当てはめた。世界共通の要因は1978年にピークをつけた、というのが分析結果だ。だが、より鮮明なのは国ごとの傾向である。236の国・地域のうち219で出生率が下がり続けており、その速さは女性1人あたり年平均0.062人。この219の中に、下げ止まった国は1つもない。

ばらつきも大きい。メキシコの出生率は2025年に1.51まで下がり、米国の非ヒスパニック系白人の1.57を下回った。メキシコの1人あたりGDPは米国の28%程度にすぎないにもかかわらずである。チュニジアは1人あたりGDPが米国の18%の水準で1.45を記録し、タイは0.87まで落ち込んだ。韓国、中国、タイ、コロンビア、チリで現在みられるほど出生率が低い社会は、これまでの歴史に例がないと著者らは指摘する

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翻訳=酒匂寛

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