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2015.12.01

「太陽光発電バブルは終わった」 米、経済アナリストの主張

Yorkman / shutterstock

ソーラー発電推進派の人々は、発電コストが低下していることや電力価格を低く抑えられること、あるいは近年の発電設備の増加を根拠に、太陽光発電の成功を主張する。しかし彼らは現実世界で起こっていることを、無視しているようにも見える。

苦境に陥っているソーラー発電企業2社を見てほしい。Hanergy Thin Film Solarの株式は取引停止となり、SunEdisonの株価は85%下落した。両社とも業界の注目株で、投資家たちに高い利益をもたらしてきたが、今やその価値を大幅に下げている。

推進者は「政府の補助金は重要ではない」と主張するが、実際のところソーラー発電業者は政府の支援削減策に動揺している。イギリスでは電力の買い取り価格がカットされたことで、プロジェクトが中止され、数百人が解雇された。ソーラー発電の推進者は、技術に競争力がないことに危機感を抱くどころか、「政府が産業を切り捨てた」と言いはじめた。

日本やドイツでも状況は同じだ。ソーラー発電は成功していると評価されるが、「ドイツは政府の規制と公的支援の組み合わせによって、世界のグリーンエネルギーのリーダーになれた」といった皮肉もある。

ソーラー発電に懐疑的な人々の視線は厳しい。ソーラー発電のコストは高く、予測不可能で経済効率が悪いと指摘する。米国でもいくつかの州ではソーラー発電のシェアが増えているが、コストの削減圧力は次第に高まっていくだろう。

ソーラー発電産業はすでにバブル崩壊の兆しがある。英国のソーラー発電事業社Mark Groupは破産を宣言した。SolarCityの株価も低迷している。

2年前に“最も新しく、熱い”と受け止められたクリーンテックは、市場で実際以上の価値を与えられバブルに陥った。ソーラー発電産業は他のどの産業よりも政府のサポートに牽引されてきたのが現実だ。安価で安定したエネルギーになる見込みが薄いなら、今後の支援は削減されるだろう。米国のシェールオイルとシェールガスが世界のガス価格を引き下げている一方、ソーラーは競争力を失いつつある。

結局、ソーラー発電による電力は高価格なままで、ニッチマーケットでしか通用しない。しかし、その長所の過度なアピールによって、関連企業の価値は法外なものとなってしまった。コストベネフィット分析を重視し、理にかなった政策が実行されるなら、補助金や価格保証は減額され、導入目標数も削減されるだろう。

かつてのドットコムバブルは、「新たなビジネスの成長可能性は旧来の物差しでは測れない」という考え方から生まれ、膨張した末に破裂した。クリーンテックにおいても、経済を知らない人や、興味を持たない人々が、「環境」をキーワードに集まり、それを過大評価することで投資家らを間違った方向に導いたのだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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