ゼレンスキーはあわせて、プログレスに対する攻撃と並行してロシア西部ニジニノブゴロド州のサバスレイカ航空基地に対する航空攻撃を行ったことにも言及した。この基地には「われわれの都市や村を攻撃しているミサイルの搭載機」が配備されているとし、こちらはウクライナから約700km離れていると説明した。
キングス・カレッジ・ロンドンのグロスフェルドは「ウクライナの深部打撃能力が向上するなか、ロシアのどの地域も安全でなくなっています。当然、宇宙関連施設や製造拠点も攻撃目標になります」と語る。
ロシアがウクライナ各地の「純粋に民間のインフラや施設」を攻撃し、子どもを含む大勢の民間人を殺害しているのに対して、「ウクライナは攻撃対象を軍事目標または軍民両用の目標に限定しています」とグロスフェルドは言う。宇宙関連施設に対するミサイル攻撃については「その施設が軍事通信に使用される機器を製造しているのであれば、わたしの理解ではそれは正当な軍事目標になります」と述べた。
グロスフェルドは「宇宙戦争はロシアによる侵攻開始以来、ずっと続いています」とも話す。ただ、それはこれまでは地上の戦域で繰り広げられてきた。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国は宇宙防衛の強化を急いでいる。ロシアは対衛星ミサイルに核弾頭を搭載する秘密計画を進めている。世界は、史上初めて軌道上の武力衝突が起こる事態に身構えている。
一方、米国は「ゴールデンドーム」軌道防衛システムの基本計画の策定に着手している。これは核大陸間弾道ミサイル(ICBM)や衛星攻撃兵器(ASAT)から米国本土を守る途方もないミサイル防衛構想であり、総費用は1兆ドル(約159兆円)を超える可能性がある。
宇宙戦争の地上部分が加速し、ウクライナが攻撃ドローンや巡航ミサイルの航法・自律能力をますます高めるなか、ロシアでは「宇宙関連施設に損害が出れば、打ち上げであれ衛星生産であれ、ほかの何であれ、宇宙事業はより危険で高額で複雑なものになります」とグロスフェルドは言う。
彼女は「ウクライナは宇宙関連施設への攻撃に限らず、あらゆる攻撃で先を行きつつある」とし、「現在、宇宙は双方によって戦争遂行に不可欠な領域と見なされている以上、ロシアの宇宙関連施設や宇宙産業への攻撃は今後も続く可能性が高いでしょう」との見方を示す。
ロシアの軍事宇宙プロジェクトの進歩や頓挫について幅広く執筆してきたグロスフェルドは、ロシアはウクライナに対する宇宙戦争を続ける裏で、中東では米国に対する影の宇宙戦争に火をつけているとも指摘する。


