事業継承

2026.08.21 10:01

ホールフーズ・マーケット、全米若手農業者連合と提携し100万ドル(約1億5900万円)規模の次世代農業者基金を設立

Adobe Stock

Adobe Stock

米国の農業者の平均年齢は58歳で、上昇を続けている。この農業者たちが数年後に農業を続けられなくなったとき、誰が私たちの食料を育てるのだろうか。

現在の農業世代が直面するさまざまな障壁の中でも、この根本的な問題は、若い農業者が今日突きつけられている課題の深刻化を浮き彫りにしている。だからこそ、米国最大のナチュラル食品スーパーであるホールフーズ・マーケットは本日、全米若手農業者連合との提携により、次世代農業者基金を立ち上げると発表した。

このプロジェクトでは、有機農業、再生型農業、そして総じてより責任ある農業慣行に取り組む新規就農者、または40歳未満の農業者に対し、1万ドル(約159万円)から5万ドル(約794万円)の助成金を直接支給する。

これらの助成金は、少なくとも100万ドル(約1億5900万円)の調達を目標とする新基金から拠出される。ホールフーズ・マーケットは最大50万ドル(約7940万円)のマッチング拠出を約束している。

すでに基金への寄付を約束している食品・農業関連企業には、Fishwife Tinned Seafood Co.Lundberg Family FarmsColeman Natural FoodsHarney & SonsMadeGoodPrairie Farms Dairyが含まれる。100万ドル(約1億5900万円)の目標を上回るため、より多くのブランドに寄付が呼びかけられている。

「食品業界で働く人なら誰もが、土地を管理する次世代を確実に確保するために、農業者が農地で農業を続けられるようにすることへの、本物の危機感を痛感している」と、アマゾン・ワールドワイド・グローサリーのグローバル・サステナビリティ責任者で、ホールフーズ・マーケットのサステナビリティ担当バイスプレジデントを務めるケイトリン・ライバートは筆者に語る。「この基金は、私たち全員が依存している農業の次世代への、業界全体での投資を活性化することを目的としている」

同時にホールフーズは本日、2025年版インパクトレポートも公表した。同レポートには、新たなAI搭載の業務用堆肥化システムによる食品廃棄削減に向けたMillとの提携、子どもの栄養プログラムへの1300万ドル(約20億6000万円)の拠出、新しい再利用可能な買い物袋と新たな水産物行動規範の導入が盛り込まれている。

全米若手農業者連合は、全米に約30の支部を持ち、長期的な構造変化と短期的な農業者への直接支援を通じて、若い農業者を包括的に支援し、後押ししている。その過程で政策変更にも取り組み、世代的な支援がなければ決して始めやすいとはいえないこの職業に、新たな農業者が参入するプロセスを円滑にするため、より公平な資源の確立を目指している。

「いま農業者にとって最も重要なのは救済だ。多くの人が生き残りに必死な状態にある」と、全米若手農業者連合のエグゼクティブディレクター、ミシェル・ヒューズは筆者に語る。「農業者も土地と同じように、支えられ、守られなければならない」

農業者への救済を提供する

第一世代の農業者は、他の人々が事業を受け継ぐのに対し、ゼロから事業を立ち上げなければならない。

自身も第一世代の農業者であるヒューズは、同組織のネットワークに属する多くの農業者が直面する苦労を深く理解している。彼女は以前、大動物医療に携わり、ペンシルベニア州で豚を育てていた。「生後1日目の子豚の世話をたくさんし、子豚を追いかけ回し、母豚の出産を手伝った」と彼女は語る。「そうして農業に恋をしたのだ。若い農業者は、偶然のきっかけで農業の世界に入ることが多い」

ヒューズがホールフーズ・マーケットとともに次世代農業者基金を立ち上げるインスピレーションを得たのは、同社が最近開始した別の取り組み、Wilding Projectの成功を目の当たりにしたからだった。同プロジェクトはMad Agricultureとの提携により、全米各地で生態系の再生と生物多様性の回復に関する取り組みに資金を提供している。

次世代農業者基金は、志を同じくする者たちの出会いでもある。ヒューズはまた、ホールフーズ・マーケットの品質基準責任者であるアン・マリー・ホーリガンとも出会い、ホーリガンは彼女をライバートと、アマゾン・グローサリーで気候、自然、サプライチェーン基準を統括するニジア・ジョウに紹介した。彼女たちは何カ月にもわたってアイデアを出し合い、この新基金を通じて若い農業者に最も大きな影響を与えられる方法を形にしていった。

「彼女たちは、若いリーダーシップの未来に投資することが、食の未来への投資であることを理解しているため、真剣に取り組んでくれている」とヒューズは言う。「農業者の平均年齢と農地価格が上がり続けているのを私たちは見ている。企業のサステナビリティチームの役割は、自分たちが持つ力を使って、その一部に抗うことにある」

この助成プログラムは命綱の役割を果たす。家族経営農場は記録的なペースで廃業に追い込まれ、連邦助成プログラムは消滅しつつあり、私たちの農地の多くは休眠状態で十分に活用されていない。世代を超えて引き継がれる資産なしに農業に参入することは極めて難しく、このような助成プログラムがあることで、参入へのハードルが少しでも下がる。「土地を取得しようとする普通の人として入ってくる若い農業者にとって、状況は厳しい。土地は富のしるしであり、証明であり、具現化である」とヒューズは言う。「私たちには非常に小さな農場が多くあり、非常に大きな農場も多くある。そして農業経済の中間にある多くの家族経営農場を失いつつある」

アマゾン傘下のホールフーズ・マーケットは、農業者が所有するブランドにプラットフォームを提供してきた長い歴史を持ち、この分野における企業リーダーとしての役割を果たしている。食料品店には消費者と農業者の間の溝を埋める機会があるが、しばしば不十分に終わり、消費者に「米国の農業者を支援する唯一の方法は地元のファーマーズマーケットで買い物をすることだ」と感じさせてしまう。それは家族経営農場を支援する素晴らしい方法だが、大きな規模に広げる機会には欠ける。この取り組みは、ホールフーズが例外であり、農業者である供給者と個人的な関係を築く、米国で数少ない主流の食料品店の1つである理由を示す例である。

「この規模のマッチング拠出は、農業経済が危機にあるいま、力強いメッセージを発する」とヒューズは言う。「この提携は、自分たちがホールフーズ・マーケットの消費者だと感じている一方で、次世代の農業のようなものにどう関わればよいのか分からない多くの人々との架け橋である」

ヒューズはさらに、「これらの資金は、そうでなければ関与できず、プログラムの対象にもならない若い農業者にとって、大きな助けになる。若い農業者は概して忘れられ、取り残されてきた」と付け加える。

8月中、ホールフーズのシグネチャー商品であるベリー・シャンティイ・ケーキの全売上の1%が基金に直接寄付される。「二つのアメリカを象徴する存在だ」とライバートは言う。「農業者とベリー・シャンティイ・ケーキだ」

今日の若い農業者

コディ・ブラウンは、次世代農業者基金から助成金を受けるために申請する予定の、テキサス州の第一世代農業者である。

「現在の需要に応えられるよう事業を拡大するための資金が必要だ」とブラウンは筆者に語る。「いま直面している需要は、ありがたい悩みではある。だが、人々からもっと商品が欲しいと言われるたびに断るのにはうんざりしている」

サンアントニオでキノコ、ズッキーニ、ピーマン、オクラなどの農産物を育てる34歳のブラウンは、当初から農業者としてのキャリアを目指していたわけではない。両親は公共サービスと公教育の分野で働いており、彼は当初、コミュニケーション学の学位取得を目指していた。しかし幼い頃、ミシシッピ州にいる保安官を退職した祖父を訪ねていた。「祖父は趣味で菜園をしていた」とブラウンは言う。「トウモロコシの皮をむいたり、腐ったトマトを投げ合ったり、庭で祖父の手伝いをするために、つるから直接キュウリを食べたりしたのが、最初の経験だった」

ブラウンは最終的に農学の学位取得を目指すことを決め、修士号まで取得した。高等教育は農業者にとって典型的な道ではないが、彼は背景知識のない状態で農業のキャリアを始める者に必要な経験を得たいと考えた。「自分の周りに存在する世界について知識を持ちたかった」とブラウンは言う。「私たちは常に農業を必要とし、それを避けて通ることはできない。そのキャリア選択には、地に足がつき、目的があると感じた」

これは、今日の若い農業者の多くに共通する現実である。彼らは、直面することが避けられない障害にもかかわらず、土地を守りたいという深い願いを抱くからこそ農業者になる。全米若手農業者連合の新たな調査によると、ブラウンのような農業者の大多数は、保全と再生に関わるためにこの仕事を始めている。「次世代の農業者を支援することは、食の未来を支援するだけでなく、私たちが実現したいと望む食の未来を支援することでもある」とライバートは言う。「これは情熱と科学と芸術の職業だ。私は農場を後にするとき、懸命な仕事に触発されたという思い以外を抱いたことがない」

彼女はさらにこう続ける。「若い農業者は非常に多くの障壁に直面している。土地へのアクセス、資本へのアクセス、医療費、手頃な価格の住宅、高い生産コスト、学生ローン債務、気候変動、移民問題、連邦プログラムへのアクセス。的を絞った介入がなければ、この世代の農業人材全体が、自らを確立する前に失われるリスクがある」

他の第一世代の農業者と同様に、ブラウンが事業を始め、自分が耕せる特定の土地を探すには、綿密な計画が必要だった。最終的に100エーカーの区画を見つけるまで、彼は地域の農場で働き、再生型かつ有機的に農業を行う方法を理解するための助言を受けた。それが、自らの手で舵を取り、この道を歩み始める自信につながった。「事業計画を書き始め、数字を組み立てる。そうすることで、この仕事で生計を立てられるよう事業を続けるには何が必要かを理解できる」と彼は説明する。

ブラウンは現在、その学びを次へとつなげようとしている。自らもメンターとなり、他の若い農業者がこの事業に参入できるよう後押ししている。彼の農場は今後、意欲ある農業者が第一世代の農業者として彼が学んだすべてを学べる農業教育センターとなり、2027年春にSmall Farmers Academyを開設する予定だ。

「今日、若い農業者でいることは大変な仕事だ。だが、私はそれを変えたいとは思わない」とブラウンは言う。「これはライフスタイルだ。自分のキャリアが自分の人生と一致していると分かると、心が落ち着く。土地の健康と地域社会のために食料を育てるという使命は、目的意識を与えてくれる」

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事