重要なのは「誰」を招くか
AGI Houseのイベントは、基本的に招待制または承認制だ。参加者は、単に有名企業に所属しているという理由だけで選ばれるわけではない。研究内容や技術的な専門性、取り組んでいるプロジェクト、そしてその場の議論にどのような視点を持ち込めるかが重視される。
参加者には、著名な研究者や大手AIラボの幹部に加え、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などで学ぶ博士課程の学生や、まだ広く名前を知られていなくても、優れた技術やプロジェクト実績をもつ若い起業家も招かれている。すでに評価が確立した人材だけでなく、これから大きく伸びる「原石」を見つけることを重視しているという。
AGI Houseが定期的に開催するディナーシリーズでは、いわゆる「ジェファーソン・スタイル」のディスカッション形式を採用している。毎回特定のテーマを設定し、その領域の最前線で研究や事業に携わる十数名の参加者を招待し、ディナーをしながら率直にお互いの意見を交わす。
例えば、2026年6月末に開催されたフィジカルAIをテーマとするディナーには、ウェイモの創業者、OpenAIのロボティクス担当VP、メタのSuperintelligence LabのAI研究者、NVIDIAのPhysical AI担当ディレクターなど、フィジカルAI領域の最前線で活躍する研究者や実務家が集合した。組織や企業の壁を超え、AIがどのように現実世界を認識し、学習し、行動するのかを議論する。
こうした場で交わされる会話には、ネット上のニュースや大規模カンファレンスのセッションなどからは得られないものが多い。研究者がいま何に悩み、起業家がどの技術に可能性を感じ、企業がどこで実装につまずいているのか。そうした「まだ言語化されていない変化」について、最前線を走るAI人材が組織を超えて個人として率直に話ができる場がAGI Houseなのだ。議論の内容は、誰が何を言ったかは特定されない形で要約されたものが公開され、コミュニティに還元されている。


