マーケット

2026.08.21 07:30

ナイキ株が12年ぶり安値に下落、ブラックベリーの二の舞を避ける条件

wachiwit - stock.adobe.com

しかし、同社の世界のスポーツフットウェア市場におけるシェアは2025年に22.9%に低下し、3年連続の減少となった。アディダスはある程度盛り返し、Hokaはランニング分野で確固たる地位を築き、Onは本格的なプレミアム競合としての存在感を示している。中国では、安踏(ANTA、アンタ)や李寧(Li-Ning、リーニン)などのローカルブランドが無視できない存在になっている。これらの競合は、何もナイキを王座から引きずり下ろす必要はないのだ。

advertisement

ランナーはナイキとHokaの両方を所有できる。土曜日にジョーダンを履いている人が、月曜日のジム用にOnを買うこともある。ナイキが巨大企業のままでも、個々の購買が他社に流れる比率が増えれば、時間とともにそれが市場シェアになる。

中国市場が懸念されるのも同じ理由からだ。ナイキの現地での売上高は8四半期連続で減少している。直近の四半期では、為替中立ベースでのグレーターチャイナ(中華圏)売上高が17%減少した。経営陣はオンライン流通網を変更し、値引き販売を抑制しようと試み、製品に関する意思決定をより中国の顧客に近い場所へと移行させている。しかし、問題が流通ではなく製品にあるのだとすれば、流通チャネル(パイプ)を修復したところで限界がある。

これが、筆者が7月に見ていたナイキと、今日見ているナイキの違いだ。当時は主に、回復の兆しがバリュエーションを正当化できるかどうかを問うていた。株価が12年ぶり安値となった現在、バリュエーションは明らかに改善している。今知りたいのは、筆者が評価している競争上の地位までもが変化してしまったのかどうかだ。

advertisement

流通の改善だけでなく、製品の「熱量」が必要だ

ヒルCEOは、ナイキが自ら生み出したいくつかの課題を引き継いだ。D2C(消費者直接取引)へのシフトは行き過ぎた。長年にわたりナイキの成長を支えてきた卸売パートナーは、突如として軽視されるようになった。おなじみの製品ばかりが強力に押し出され、イノベーションは減速し、ナイキのような企業が本来望まないレベルで値引き販売が横行するようになった。

ヒルはこのトレンドの多くを覆しつつある。ナイキは卸売関係を修復し、戦略の中核にスポーツを再配置し、新たなフットウェアをより多くパイプラインに流している。

「ボメロ 18(Vomero 18)」はその好例だ。ナイキによると、発売から最初の3カ月で売上高が1億ドル(約160億円)に達したという。古い「ダンク(Dunk)」の在庫処分を中心に据えた四半期をまた見せられるより、このような進展を歓迎したい。今後数四半期にわたって見極めたいのは、消費者が自ら買い求めて流通システムを流れるような新製品を、ナイキが十分に生み出し始められるかどうかだ。それは単に、より多くのナイキ製品を再び店舗の棚に並べることとは異なる。

次ページ > ブラックベリーの警告が示す「関連性」の意味

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事