Forbes JAPAN 2026年10月号は、「世界を変える30歳未満」30人特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が2011年より開催し、『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。
今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。SCIENCE&TECHNOLOGY部門で選出されたのが大嶽匡俊だ。
「起業家というよりは、サイエンティストですね」
音声AIスタートアップ「DubGuild」を率いる大嶽は、自らをそう評する。
原点は東大在学中、社員6人のSakanaAIに1人目のインターンとして参加した経験だ。「課題から逆算せず、人と違うものをつくることから事業をつくる姿勢に衝撃を受けた」。目標から逆算せず、探索から道を切り開く姿勢が大嶽の流儀となった。
だが起業後の道は平坦ではなかった。最初のAI吹き替え事業は、ビジネスとしてはきれいな仮説から始まったが、起業家としての未熟さが目立ち1年で撤退。「技術で勝てる会社をつくれ」との投資家の言葉を機に、音声AIの基盤技術開発へと舵を切った。
現在手がけるのは、テキストを介さず、音声から音声を直接生成するSpeech-to-Speechモデルだ。相手の声に重ねて話せる「フルデュプレックス」の対話を実現する。「音声合成の世界のトップ研究者に日本人が名を連ねる。日本が伝統的に強い領域なのです」。大嶽は第一人者である名古屋大学教授・戸田智基をアドバイザーに迎え、売り上げゼロのまま累計約21億円を調達済みだ。
取材の5日前、Open AIが同種のモデルを発表した。それでも大嶽は動じない。「優しい人がいい、面白い人がいいなどあるようにAIが生活に溶け込んだとき、多様な性格や声のAIが求められる。一社がすべてのニーズに応えることはありません」。狙うのは若者の心を動かす対話AIだ。
おおたけ・まさとし◎1997年生まれ。3浪を経て東京大学へ。エリート競争のレールではなく異なる道を選ぼうと、起業。2024年音声対話AIを開発するDubGuildを創業。同年、国家規模のIT人材発掘・育成プロジェクト「未踏アドバンスト事業」にて採択される。
ジャケット143000円 ポール・スミス(ポール・スミス リミテッド Tel:03-3478-5600)、パンツ24200円 J.プレス オリジナルス(J.プレス & サンズ 青山 Tel:03-6805-0315)、その他スタイリスト私物




