後回しにされる運用の整備
一方、経営者が投資を優先する領域の1位はAI・自動化ツールの導入(47.3%)、ヘルプデスク・ITサポートの強化は8.7%と最下位だった。従業員の困りごとの1位もAI活用が進んでいないことで、両者はここだけは一致している。ただし従業員側の回答はそこで終わらず、その下にはアナログな業務の多さやPCの動作の遅さが続き、さらに下にセキュリティ制限やヘルプデスクの対応の遅さといった運用に関わる項目が並ぶ。
運用や使い勝手に関する困りごとを1つ以上抱えている従業員は31.4%。この層は週3時間以上のロス(50.0%)、成果の損失の実感(44.6%)が、全体の38.0%と29.9%をいずれも上回っていた。設問の立て方が異なるため経営者側と厳密には比較できないが、投資の関心と課題の所在は、同じ方向を向いていないようだ。

見えていないのは従業員の声だけではない。満足度調査を行っていない経営者の62.0%は、自社の従業員がIT環境に満足しているかを判断できないと答えている。失われた時間は誰の予算にも計上されず、要望として上がらないかぎり存在しないものとして扱われてしまう。投資の優先順位が動かないのは、そのためだろう。
誰も認識しないかたちで時間ロスが発生しているのであれば、積み重なるほど企業にとっての損失はふくらんでいく。まず足下を精査することが、社内IT環境整備の第一歩になるのではないだろうか。
【調査概要】
調査対象:経営者・役員300人および正社員1000人
調査期間:2026年7月21日〜7月22日
調査方法:インターネット調査


