今後20年間にわたり、上の世代からその相続人へと数兆ドル規模の資産が引き継がれると予測される「グレート・ウェルス・トランスファー(大いなる富の移転)」。これにより、専門的な知識を要する複雑なニーズを持った個人や家族など、新たな富裕層の投資家が日々誕生している。多くの投資家は、ファイナンシャル・アドバイザーの指導が必要であると自覚している。しかし彼らが分かっていないかもしれないのは、自身の状況に最適なアドバイザーをどう選ぶべきかという点だ。
国全体として学校での金融リテラシー教育の必要性に対応し始めてはいるものの、投資家に最適なファイナンシャル・アドバイザーの選び方を教えているところはどこにもないようだ。もちろん、「最適」という言葉は主観的なものだ。ある人にとって最適な選択肢が、別の人にとっても正しい選択とは限らない。そこには、目に見える要素(有形資産)として、運用実績(もちろん将来の成果を保証するものではないが、見込み客が事前調査を行う上で重要なツールである)、運用資産残高(AUM)、クライアント数、保有資格、提供されるサービスやソリューションなど、多くの要因が絡み合っている。さらに、目に見えない要素(無形資産)として、価値観、共感力、誠実さ、透明性、信頼性などが挙げられる。
多くの投資家が「間違った質問」をしている
すべての投資家のニーズが異なるのであれば、なぜ「間違った」質問などというものが存在するのだろうか。数字だけに目を向け、視野を狭めたまま選定プロセスに入るクライアントにとって、問題なのは質問そのものではなく、それを突き動かしている考え方である。
価格と実績で選ぶクライアントは通常、変動しやすく時間とともに必然的に変わる一連の数字に基づいて判断を下している。もちろん、過去の実績も考慮すべき要素の一つではあるが(それが繰り返されると期待することはできない)、投資家が自らの経済的将来を託す唯一の基準にすべきではない。全体的な資産形成の道のりではなく、直近の運用成績ばかりを重視するクライアントは、常にリターンを追いかけ続けることになる。
コストも同様に、アドバイザーの適性を測る指標としては問題がある。重要な考慮事項であることは確かだが、単独で捉えるべきではない。コストと価値は同じものではない。この2つを区別できないクライアントとの関係は不安定になりがちで、そうしたクライアントはアドバイザーを頻繁に変える傾向がある。これはクライアント自身にとっても良いことではない。アドバイザーの頻繁な変更はポートフォリオの回転率を高め、リターンに悪影響を及ぼす可能性があるからだ。
また、「支払った分だけの価値しか得られない(安物買いの銭失い)」という格言は、この業界を含め、あらゆる業界に当てはまる。
投資家はどのような質問をすべきか?
投資家は、アドバイザーとクライアントの関係におけるあらゆる側面において、どのような顧客体験(クライアント・エクスペリエンス)が得られるかを知るための質問をすべきだ。そのアドバイザーの専門分野は何か。コミュニケーションスタイル(何を、いつ、なぜ、どのように伝えるか)はどうなっているか。つまり、リターンがどうなるかよりも、その関係性がどのようになるかに焦点を当てる方が、はるかに有益である。
もしアドバイザーを採用する前に3つだけ質問できるとしたら、私は次のように尋ねる。
1. 御社との関係性はどのようなものになりますか?(業務を開始した後、日々の窓口は誰が担当するのか? 直接面談できる機会はどれくらいあるのか? コミュニケーションの頻度はどの程度か?)
2. 直接の面談以外では、どのようにクライアントとコミュニケーションを取りますか?(必要なときにどのように連絡すればよいか、また通常の返答時間はどのくらいか?)
3. 現実的な目標を設定し、それを達成するための支援をしてくれますか?
これらの質問が重要なのは、過去の実績よりも高い予測価値を持つもの、すなわち契約後にその関係が実際にどのようなものになるかを明らかにできるからだ。
投資家にとって何が心に響くべきか?
ファイナンシャル・アドバイザーに最も不可欠なのは、信頼、誠実さ、そして定期的かつオープンなコミュニケーションへのコミットメントだ。アドバイザーと最初に面談したときの投資家の目標が何であれ、状況は変化する。迅速な対話が常に維持されることが極めて重要である。信頼関係が築かれ、育まれていれば、アドバイザーは必要なときに言いにくい耳の痛い話であっても、迷わず伝えることができる。
アドバイザーの専門分野を知ることは、相性を測るための一つの方法だ。もう一つの方法は、現在どのようなクライアントを抱えているかを尋ねることである。見込み客が現在いる地点、そして5年後、10年後、20年以上先にいるであろう地点を反映するような、バランスの取れた顧客層を持っているだろうか。これは、アドバイザーとクライアントの関係におけるすべての段階での専門性を示すものである。
クライアントは、市場のストレスや不確実性が高まる時期に、アドバイザーがどのように対応するのかを知っておくべきだ。厳しい市場サイクルの間、アドバイザーの最優先事項はクライアントを安心させ、懸念に耳を傾けて解決し、市場のストレスが長期的にポートフォリオにどのような恩恵をもたらし得るかを説明することである。
投資哲学の一致は、ある投資家にとっては極めて重要である一方、別の投資家にとってはまったく関係ない場合もある。時計の作り方など気にせず、今何時かを知りたいだけの人もいる。ただし、クライアントにとってそれが重要であるならば、事前調査プロセスの大部分を占めるべきである。
クライアントは、アドバイザーがどのような「道具箱(ツールボックス)」を持っているかを理解しなければならない。クライアントが期待する投資戦略、ソリューション、テクノロジー、リソースをアドバイザーが備えていなければ、不利益を被ることになり、信頼関係が損なわれる原因にもなる。
結局のところ、投資家は自らが何を大切にしているかを知っている。理想を言えば、選んで協業するファイナンシャル・アドバイザーがその価値観を共有していることだ。重要なのは、関係者全員にとって有益で情報に基づいた意思決定を投資家が下せるよう、アドバイザーが透明性を提供しなければならないということである。
ここで提供されている情報は、投資、税務、または金融に関する助言ではない。個別の状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。



