貴金属は夏場の停滞から抜け出す
夏の大半を通じて停滞していた金価格は、ここへ来て上昇に転じている。8月上旬には、ドル安や米国債利回りの低下、さらには予想外の雇用統計の悪化などが重なり、金価格は約7%上昇して過去7カ月間で最大の上げ幅となる週を記録した。
しかし、この8月の急騰に至るまでの夏相場は、過去10年以上で最悪の四半期を経て4000ドルから4200ドルの狭いレンジで推移していた。6月30日までの3カ月間で金は約16%下落し、2013年以来で最悪の下落率を記録した。当時、金と銀はともに約7カ月ぶりの安値まで沈み、金は4000ドルを割り込んでいた。アナリストらは当時の下落の要因として、1年ぶりの高値水準にあったドル高と、FRBが今年中に利上げに踏み切る可能性への警戒感を挙げていた。
銀は約3%高の66.16ドル、高値の更新とはならず
銀も19日には緩やかな上昇を見せ、約3%高の66.16ドルを付けた。ただし金とは異なり高値の更新とはならなかった。銀は先週約67ドルまで上昇し、6月中旬には70ドルを突破する場面もあった。
12月の利上げ予想確率は69.2%、実現すれば金・銀は下落の可能性
FRBが今年後半に利上げを実施する可能性は残されている。CMEのFedWatchツールによると、今年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される予想確率は約69.2%となっている。一方、それより早い時期の利上げ確率は低く、9月は36.6%、10月は49.2%にとどまる。一般的に金利の上昇は貴金属価格の下落要因となるため、利上げが実施されれば金と銀の価格が値下がりする可能性がある。
金と銀の価格は、今年初頭に記録した過去最高値からは下落している。1月にはそれまで数カ月間続いた歴史的な価格高騰のピークを迎え、金は約5600ドル、銀は過去最高の121ドルに達した。その後、銀はその価値のほぼ半分を失っている。どちらもイラン紛争の期間を通して原油価格と逆相関の動きを見せ、全体的に下落基調をたどってきた。価格が大きく下落する以前、金と銀がこれほど劇的な高騰を見せていた背景には、米国の利下げ、トランプ政権による関税政策、地政学的緊張の高まり、そしてテクノロジー業界からの金属需要の増加などの要因があった。


