Forbes JAPAN 2026年10月号は、日本発「世界を変える30歳未満」30人特集。
30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで、米『Forbes』が11年より開催し、世界的に注力している。『Forbes JAPAN』でも18年から8年間で総計330人を選出してきた。今年の受賞者も、AI革命の真っただなかで先頭に立ち、想像力、知性、そして並外れたグリット(やり抜く力)をもって、「自分が思うより良い未来」を目指す30人だ。彼ら彼女らがつくる「 新しい社会、新しい経済」から見えてくるものこそが、日本の未来の希望になる。
2023年9月にデビュー、即興の歌をショート動画にした「まいたけダンス」が1500万回再生を超え(26年8月時点)、一躍時の人となったVTuber、儒烏風亭らでん。自身が精通する美術や落語などの魅力を発信し、美術の解説だけでなく「美術館に行く前後の道中」を面白おかしく語る。その語り口も人気を集め、若者を中心に「彼女の配信がきっかけで初めて美術館へ行った」という声が殺到している。
美術に興味をもったきっかけは、東京国立博物館で能面を目にしたこと。「『理解できない面白さ』に魅了され、美術史が学べる大学に入り学芸員資格を取得しました」。しかし就職枠の狭さに直面。その時に出会ったVTuberを「新しい自画像、面白い表現メディア」ととらえ、この道を選んだ。
そして今年5月、彼女の「好き」という原動力がロンドン ナショナル・ギャラリーとのコラボレーションを実現。ゴッホの「ひまわり」など名画の解説を美術館を貸し切って発信したほか、オリジナルグッズの販売も行った。歴史ある美術館からのオファーに驚きながらも「私を通じて絵画や画家のことを知り好きになる、“好きの連鎖”を期待されているのでは」と話す。
サブカルチャーとハイカルチャーの境界線は今や曖昧になりつつあると考える彼女。「そこを自由に行き来できるのが漫画やアニメ、VTuberだと思います」とその可能性を信じる。「全国の美術館とコラボし、私の音声ガイドや案内がどこにでもある状況をつくりたい」。今日も「新しいアートに触れられる世界」の扉を鮮やかに開く。
じゅうふうてい・らでん◎ホロライブプロダクション所属のVTuber。YouTube登録者数は126万人(2026年8月時点)。箱根ガラスの森美術館での音声ガイド、ロンドン ナショナル・ギャラリーでのオリジナルグッズの販売など国内外の美術館とコラボしている。




