集落のなかで回るエコシステム
客の4割は海外からで、3週間の日本旅行にこの集落を組み込み、前後をリゾートホテルで挟んでやって来る。そのひとりは、「これからは旅を、距離ではなく、人との関係性で語れるようになりたい」とコメントを残したという。400年続く集落の物語と、それを語る人に会うことが、再訪の理由になる。
調達の9割は沖縄県内、8割はやんばる3村内で、従業員は全員がエリア内に住む。旅行業のハブとして飲食店やガイド事業者に送客し、三線の上手なおじいや、琉装を着付ける美容室のおばあに発注する。海外の客が集落の泡盛に惚れ込み、酒造会社とつないで自国への販路が生まれたこともある。語るうちに土地へ愛着の湧いたシェルパは、何人かがそのまま集落に移り住んだ。今では住民に「孫」と呼ばれ、事務所には旬の野菜や魚が届く。
仲本の目下の悩みは、観光ではなく住宅だ。移り住みたい若者に貸せる家が集落にない。カーテンの外れた窓を見つけては、家主に電話をかける。この8月には、シェルパが2人増える。年が明ければ自身も一家3人で謝敷へ越して、集落は28人になる。
仲本いつ美◎国頭村役場の職員として県庁出向中に世界自然遺産登録に携わる。2019年退職、地域限定旅行業のEndemic Garden Hを創業。22年に謝敷集落で「やんばるホテル南溟森室」を開業。姉とともに経営する。


