統計学者が見つけたシリコンバレーでの成功の秘訣
キツネは、経済学的な定義における「リスク愛好型」とはかぎらない。すなわち、スリルを味わうためだけに意図的に期待値ゼロの賭けをする人々ではない。むしろキツネはリスクを見積もるのが得意であり、その種の人は比較的リスク耐性が高い傾向がある。少なくとも彼らは、EVがプラスになる賭けを自分で探し出すことができる。
ここで、私の考えるシリコンバレーでの成功の秘訣をまとめておきたい。それは、モリッツのようなリスク耐性の高いVCと、マスクのようなリスクに無知な起業家を組み合わせること。要は、キツネとハリネズミの完璧なペアを作るということだ。起業家はある意味で非合理的なリスクを取ることがある。それが非合理的なのはリターンが見込めないからではなく、むしろ限界収穫逓減によるところが大きい。具体例で説明しよう。たとえば、あなたが100万ドルの純資産を持っているとする。その全額を賭けたら50回に1回(2%)の確率で2億ドルを手にし、98%の確率で資産がゼロになるという勝負を持ちかけられた場合、あなたはどうするだろう?
この賭けのEVは+300万ドルとなるが、私ならやらない。しかし、VCが充分な数のハリネズミたちをファンドに集め、似たような賭けをいくつも行なうことができれば、資産がゼロになるリスクをほぼ抑え込みながらEVを手にできる。


