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政治

2026.09.01 15:15

トランプが勝つ確率は「29%」。天才統計学者の予測が実はかなり正確だった理由

写真:フィン・ゴメス/Getty Images

選挙に関しては、人は非合理的

対照的に政治家と政党—とくに、アメリカのように著しく分極化した二大政党制においては—この種の確率論的な考え方を受け容れず、有権者が選挙について確率論的に考えることをひどく嫌う。代わりに彼らは、自分たちの勝利を道徳的に正しいものとしてとらえようとする。バタフライ方式の投票用紙や選挙人団、あるいはその時点のインフレ率といった偶発的な物事を反映したものなどではなく、この勝利は「歴史の正しい側面」や「神の思し召し」を体現したものだと信じたがる。政治家と政党はきまって、すべての選挙を唯一無二の重要性を帯びた出来事だと考える。(期待値が仮定する)起こりえる結果の確率分布から導き出されたものではなく、一つひとつが特別な雪の結晶のごときものなのだ、と。彼らはまた、微妙な差異や複雑さ、あるいは多元的かつ確率論的な思考のための余地も積極的には認めようとはしない。政治家に言わせれば、協力関係を維持するだけでも一苦労であり、同じチーム内で議論する余裕などないのだ。さらに政治家は、政治について賭けるという発想自体を道徳的に疑わしい不快なものだとみなす。

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私としては、この時点でrational(合理的、理性的)という言葉を使うことは控えておきたい。この単語については正確に定義する必要がある。たとえば大多数の哲学者にとって、rationalはreasonable(理にかなった、妥当な)の単純な同義語などではない。ただし正式な意味合いではないものの、ここでいちどだけrationalの反対語を使っておきた—「選挙のこととなると、人っていうのはマジで非合理的(irrational)になる」。それも仕方のない話だ。選挙は新型コロナウイルスにとても似ている。リスクが高く、ストレスだらけで、自分では完全に制御できない経験だ。逆に確率論的な選挙予測は、超合理主義的な知的伝統の産物だと言っていい。だからこそ選挙では、奇妙な文化的衝突が生まれる。

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