NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

政治

2026.09.01 15:15

トランプが勝つ確率は「29%」。天才統計学者の予測が実はかなり正確だった理由

写真:フィン・ゴメス/Getty Images

期待値を知らないと長期的には搾取される

期待値はリバー的思考においてきわめて基本的な概念であり、2016年という年は、私の人生のなかで誰が同じ部類の人間なのかを判断するリトマス試験紙として機能した。あるタイプの人たちは、きまって私に激怒した。同時にほかのタイプの人たちは、ファイブサーティーエイトの予測を利用して賭けに勝つことができたと小躍りして喜んだ(2016年やほかの年に立てた予測で儲けたことに感謝して、いまでも私に夕食を奢おごってくれるポーカープレイヤーたちがいる)。

advertisement

もしかすると、この考え方はあなたにとって信じがたいほど異質なものかもしれない。くわえて、整理すべきやっかいな哲学的問題もある。たとえば、2016年の大統領選挙のような一見すると1回かぎりの出来事という文脈において「平均的な結果」とは何を意味するのだろう?

でも私が読者のみなさんに理解してほしいのは、有力者や大企業の多くが期待値の観点から物事を考え、長期的には負けるよりも勝つことが多いという点だ。ハードロックを運営するセミノール・ゲーミングのような企業は年間数十億ドルの利益を上げているが、その大部分はEVを理解していない人々からもたらされる。

第一歩として、読者のみなさんには確率論的に考えるようになってもらいたい。私の最初の著作『シグナル&ノイズ』の核となる主張は、確率論的な予測は傲慢さではなく謙虚さの徴しるしであるというものだった。この世界は複雑な場所だ。オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者フランツ・フェルディナント大公の暗殺から、中国で最初のSARS‒CoV‒2が発生した一連の経緯に至るまで、小さな混乱が甚大な影響を与えることがある。ときに歴史の全体の流れが、ほぼランダムな出来事によって変わることさえある。たとえば2000年アメリカ大統領選挙では、フロリダ州パームビーチ郡で配布された「バタフライ方式」のパンチカード投票用紙の不備によって、一部の有権者が誤って泡沫候補のパット・ブキャナンに投票するという事態が起きた。これが、アル・ゴア敗北の一因となった可能性は否定できない。何千回もポーカーをプレイし、自身で金を賭けてスポーツの試合を何百回も観戦し、あるいは何十ものスタートアップ企業に投資するうちに、多くの人はすぐに学ぶはずだ。運命の気まぐれと世界に対する不確実な知識の狭間に立たされた私たちにとって、物事をある程度のレベルで正しく理解することさえ容易ではない、と。そんな世界では、多くの場合、確率を求めることが最善の手段となる。

advertisement
次ページ > 選挙に関しては、人は非合理的

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事