リーダーシップ

2026.08.19 10:39

なぜ「人材不足」は採用だけでは解決できないのか

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採用についてビジネスリーダーに尋ねれば、ほぼ誰からも同じような不満が聞こえてくる。適任者を見つけることがますます難しくなっている、というものだ。

私は高等教育の現場でも保険業界でも、この懸念を何年も耳にしてきた。議論はたいてい、採用戦略、報酬、求人広告、経験豊富な候補者の不足へと向かう。いずれも正当な懸念だが、私たちは限られた人材プールからいかに採用するかに時間を費やしすぎており、そのプール自体をどう拡げていけるかを考える時間があまりに少ないと感じている。

人材難の本質は、採用の問題ではなく、人材育成の問題なのだ。

これまでのキャリアを通じて、私は、着任当初は経歴上その職務に適任とはいえなかった人が成功していく姿を見てきた。誰かがその人に機会を与えた。上司が時間を割いて教えた。教授が、本人の知らなかった職業を紹介した。メンターが、本人が自分で気づく前に可能性を見いだした。

人材をめぐる議論で抜け落ちているのは、この部分である。

保険業界に入る前、私は大学教授として何年も過ごした。学期ごとに、自信、経験、方向性の程度がまったく異なる学生たちが教室にやってきた。卒業後に何をしたいのか、まったくわからない学生もいた。

大学では学生セールスチームを指導し、全米各地の大学チームと競うための準備をさせた。私の上級セールス講座には、インターン経験と明確なキャリア目標を持って入ってくる学生もいれば、何をしたいのかほとんどわからず、この授業が想像以上に厳しいものだとすぐに気づく学生もいた。

ある学期のことを覚えている。1人の学生が、報酬が良いと聞いたという理由でテックセールスの仕事を目指したいと言ってきた。彼女はすぐに、その職業に求められるものを過小評価していたことに気づき、自分の能力にも自信を持てずにいた。私は、彼女には成功する可能性があるとわかっていたので、彼女と向き合った。

コーチング、メンタリング、業界のプロフェッショナルとの接点、そして現場の営業担当者から直接学ぶ機会を通じて、彼女は急速に成長した。より多く練習し、より良い質問をし、思い通りにいかなかったときの立て直し方も学んだ。最終的に彼女は全米大学セールスコンペティションで2位に入賞し、大会中に2件の内定を獲得、卒業後にテックセールスのキャリアを歩み始めた。彼女は今もその業界にいて、自分の仕事を愛している。

私はビジネスの世界でも同じことが起きているのを目にしている。世の中には有能な人材が至るところにいるが、その業界の仕事を紹介されたことがない、あるいはそこで成功できると信じる理由を与えられたことがないというだけで、その業界でのキャリアを考えることがない人もいる。例えば、私が一緒に働いてきた優秀なプロフェッショナルの中には、保険業界でキャリアを始めたわけではない人もいる。誰かが教えることをいとわなかったからこそ、彼らはそのビジネスを学んだのだ。

私はレストランや買い物先で人材を見つける癖がある。誰かから素晴らしいサービスを受けると、私は注意を払う。その人が人とどう話すのか、どれほど懸命に働くのか、もっと上を目指す意欲がありそうかを見る。これまで何度も、「この人なら私の会社で働けば、もっと多く稼げるだろう」と思ったことがある。

人材は、採用されるずっと前から育てられていることが多い。組織がより強い労働力を望むなら、人々にもっと早い段階でキャリアを紹介しなければならない。人は、存在を知らない職業を目指すことはできない。つまり企業は、学校、大学、地域団体と意味のある関係を築く必要がある。単に就職フェアに参加したり、パンフレットを配ったりするためではない。学生に業界、キャリアパス、プロフェッショナルとの実際の接点を与えるためである。

新しい仕事に就いた時点で、必要なことをすべて知っていた人を、私はあまり思い浮かべることができない。トップパフォーマーになった人たちは、質問し、指導を受け入れ、時間をかけて成長した人たちだった。しかし彼らには、教える意思のある上司もいた。この点は重要である。従業員に成長してほしいと言いながら、上司に彼らを育てる時間を与えないわけにはいかない。コーチング、研修、専門能力開発は、ほかのすべてが終わった後に行われるものではなく、仕事の一部として扱われなければならない。

こうした経験があるからこそ、私は人材をめぐる課題についての考え方を変えた。採用はこれからも重要であり続ける。企業には強力な採用チーム、競争力のある報酬、思慮深い採用戦略が必要だ。しかし、同じ経験豊富な候補者を組織同士で奪い合い続けているようでは、採用だけで人材不足を解決することはできない。どこかの時点で、経験者をもっと生み出さなければならない。

企業は、人材育成に積極的に関与する存在にならなければならない。それは具体的には次のことを意味する。

  • 若者に、これまで考えたこともなかったキャリアを紹介する
  • 潜在能力を見て採用し、技術的スキルを教える
  • 従業員に教育と専門能力開発の機会を提供する
  • 部下を育成する責任をリーダーに負わせる

これらはいずれも、すぐに結果を生むものではない。人を育てるには、時間と忍耐、投資が必要である。私は教室、企業、ビジネスリーダーとの対話に十分な時間を費やしてきたからこそ、機会を与えられれば人は出発点をはるかに超えて成長できると知っている。

組織はこれからも経験豊富な候補者を採用する必要がある。しかし、それだけを戦略にしてはならない。私たちは、自分たちの業界を人々に紹介し、機会を与え、成功に必要なスキルを身につける手助けをすることにも、もっと時間を割く必要がある。将来、より強い労働力を望むなら、私たち自身がその構築に一役買う覚悟を持たなければならない。

forbes.com 原文

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