一方、土台であるシート課金(利用者1人分の契約枠ごとに料金を取る方式)の伸びは鈍い。同じ四半期に、法人向けMicrosoft 365の有料シート数は前年同期比6%増にとどまり、報告ベースの法人向けMicrosoft 365のクラウド売上高が14%増だったのに届かなかった。つまり、上乗せ分の売上は、既存の利用者のなかでの利用量の増加と、上位パッケージから生まれている。
目立たなくなったオンプレミスサーバー事業
移行という話題が下火になった理由の一つは、その移行の出発点にあたる事業そのものにある。オンプレミス(自社の設備内で運用する形態)のサーバー事業の売上高は、2026会計年度第4四半期に前年同期とほぼ横ばいで、為替の影響を除くと1%の減少だった。経営陣は2027会計年度第1四半期について、顧客のクラウドへの移行が続いていることと、前年同期の数字との比較から、1桁台前半から半ばの減収を見込んでいる。
顧客がオンプレミスからクラウドへ移る動きが止まったわけではない。決算説明会で語られなくなっただけである。実際、サーバー事業の減収が全社の業績を圧迫している様子はない。マイクロソフト全体では、直近12カ月の売上高の伸びが17.8%まで加速し、純利益率は40.3%と過去3年で最も高い水準にある。
見極めの鍵は、法人向けMicrosoft 365クラウドの成長率
これは撤退ではなく、軸足の移動である。経営陣は2027会計年度も売上高と営業利益がそろって2桁で伸びると見ており、通期の営業利益率の低下は1ポイント未満にとどまるとしている。2027会計年度第1四半期については、前年の収益認識の影響を調整したうえで、為替の影響を除くベースで法人向けMicrosoft 365クラウドが16%前後伸びると予想した。報告ベースでは15%にあたる。さらに、従量課金が広がるにつれて、2027会計年度を通じて勢いが増していくと見ている。
伸びが加速すれば、シート課金に加えてメーター(従量課金)が売上を生み始めた証拠になる。横ばいのままなら、稼いでいるのは依然としてシート課金だということだ。


