リーダーシップ

2026.08.19 08:27

AI導入で置き去りにされる従業員たち リーダーが今すべきこと

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優れたAIツールにアクセスできるからといって、それを使いこなせるとは限らない。

また、使い方を知っていたとしても、それをなぜ使うのか、自分の役割にどう組み込まれるのかを理解しているとは限らない。

これらは、アチーバーズ(Achievers)が発表した「2026 State of Recognition(従業員表彰に関する2026年年次報告書)」からリーダーが得られる教訓の一部だ。同報告書は、AIの急速な導入によって労働者が取り残されていると感じるなかで起こる「従業員の適応力不況」に警鐘を鳴らしている。

アチーバーズの調査によると、職場でAIツールを使うことに自信がある従業員は5人に1人未満(19%)にとどまった。職場でのAIやテクノロジーの変化への適応を支援されていると感じる従業員は18%にとどまり、AI対応の研修を利用できると答えた従業員も18%だった。

「従業員の適応力不況とは、企業によるAI投資のスピードと、その投資を成功させるために従業員が必要とする自信、明確さ、支援との間で広がるギャップのことだ」と、アチーバーズの最高経営責任者(CEO)であるスコット・ランダースは指摘する。言い換えれば、リーダーはAIを自社に導入することに注力するあまり、従業員を備えさせることを忘れているのである。

ランダースによれば、これは単にAI研修が遅れているという問題ではない。「研修の積み残しも問題の一部ではあるが、従業員と組織のリーダーの間にある適応力と方向性のずれが、このギャップを大きく広げている」と彼は言う。「研修はツールの仕組みを示すことはできる。しかし、真の適応力を促すリーダーシップから得られる自信や主体性を、従業員に与えるものではない」

AIを駆使して活躍するために必要な適応力やアジリティ(俊敏性)は、技術的なスキルよりも、いわゆる「ソフトスキル」、あるいは私が「プロフェッショナルスキル」と呼ぶものに深く関係している。これらは、人が職場で成功するために不可欠な、生まれ持った対人関係能力や人間的なスキルを指す。

AIの導入が加速する一方で、人間的なスキルは後回しにされている。それこそが、従業員の準備不足という差し迫った不況を生み出している要因だ。

投資のギャップ

アチーバーズの報告書は、昨年の世界における企業のAI投資額が5816億9000万ドル(約92兆9000億円)という驚異的な規模に達したと言及している。しかし、AIへの適応についてサポートを感じている従業員がわずか18%しかいない現状を見ると、その投資額は実際にツールを使用する人々には行き届いていないようだ。

ツールが従業員の対応スピードをはるかに超えて進歩するとき、社内では何が起きるのだろうか。「テクノロジーが従業員の適応力を追い越してしまった場合、リーダーシップが明確なビジョンを伝えない限り、従業員は自分の役割がどうなるのかを自分たちで推測せざるを得なくなる」とランダースは言う。

「このような状況に陥ると、従業員はAIをツールではなく脅威と見なし始めることが多い。組織が貢献者である自分たちに投資するのではなく、自分たちを取り巻くテクノロジーにばかり投資しているように感じてしまうからだ」

これは当然、AIのROI(投資利益率)に悪影響を及ぼす。「このような状況では変革は定着しない。従業員がリーダーへの信頼を失い、その結果、試行錯誤したり、理解できないことを認めたりしたがらなくなるからだ」とランダースは説明する。「マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究で、生成AIのパイロット運用の95%がROIを達成できていないことが明らかになったのも、これが一因かもしれない」

「現実として、AIを適切に導入し、ROIを高めるためには、組織はまず好奇心や信頼、コラボレーションを促す学習環境を整えなければならない」

リーダーシップの試金石

従業員のわずか19%しかAIを自信を持って使えていないとすれば、それは個々の従業員ではなく、組織の失敗を意味している。ランダースは、あまりに多くのリーダーが、ツールを購入しさえすれば組織はそれに備えられると誤解していると考えている。「投資することは簡単だ」と彼は言う。「難しいのは、それが会社の未来にとって何を意味し、どのように使われるべきかを説明することだ」

ランダースがこの傾向に対抗する方法の1つは、徹底した透明性である。「私はAIに関する計画について、取締役会と共有する情報とほぼ同じ内容を従業員にも共有している」と彼は語る。「明確さは思いやりである」

このことは、以下のデータによっても裏付けられている。

  • 変化が自身の役割に影響を与える際に、十分な説明を受けていると感じる従業員はわずか18%
  • 先行きが不透明な時期に、コミュニケーションが明確であると答えたのはわずか23%
  • 組織がAIの役割を明確に伝えていると信じているのはわずか17%

「これらの数字は、リーダーに警鐘を鳴らすべきものだ」とランダースは言う。「従業員が新しいテクノロジーを安心して試せるようになるには、何が変わるのか、それが自分の役割に何を意味するのか、責任ある利用とはどのようなものかを知る必要がある」

世代間のギャップ

従業員の変革への適応力を年齢だけで判断するのは簡単かもしれないが、ランダースはそれほど単純な話ではないと考えている。

「新入社員や若い従業員はAIツールの扱いに慣れているかもしれないが、自社特有の文脈でAIをうまく導入するために必要な歴史的経緯を欠いている」と同氏は指摘する。「それどころか、ベテラン従業員は新しいテクノロジーを取り入れるために、すでに確立されたワークフローを適応させたり調整したりする上でより多くのサポートを必要とするかもしれないが、AIを組織で機能させるために不可欠な社内知識をもたらしてくれる」

筆者と同様、ランダースも、ある世代を「適応力がある」、別の世代を「抵抗感がある」と決めつけるべきではないと主張する。「そのような一般化は危険だ」と彼は語る。「より良いアプローチは、世代間を超えた学びを促し、試行錯誤や技術的な好奇心を、経験やメンター制度、文脈、ビジネス上の判断力と組み合わせることだ」

「結局のところ、自分の存在を認められ、サポートされ、つながりを感じたいという欲求は、年齢や勤続年数に関係なく普遍的なものなのだ」

AIとのアライメントを築く

チームの多くのメンバーにとってAIの活用が手探り状態であることを認識しているリーダーに対し、ランダースはいくつかのアドバイスを送る。「まずは、AIに関するあらゆることを話し合うための、チーム全員が参加するアライメントミーティングを開くことから始めよう。AIがすでに業務にどのような影響を与えているか、どのような点に不安を感じているか、そして、より自信を持って使うためにどのようなトレーニングやガイダンス、あるいはガイドラインが必要かを聞き出すのだ」と彼は言う。

これにより現状(ベースライン)を把握でき、その時点でマネージャーの責任は、言葉と行動の両方を通じて、テクノロジーではなく「人」が依然として最優先事項であることをチームに再確認させることだとランダースは言う。

「マネージャーがすべての答えを持っている必要はない」と彼は強調する。「しかし、『これはまだ理解できていない』と言っても遅れているように見られるのではないかと心配しなくて済むチーム環境をつくる必要がある」

目指すべき成功の姿

テクノロジー主導の時代に競争力を維持することは、優れたAIツールを購入すること以上の意味を持つ。「成功とは、従業員が自身の業務におけるAIの適切な位置づけを理解し、自信を持って使いこなし、その出力結果をいつ検証・修正すべきかをわきまえ、それによって節約できた時間をどのように再投資すべきかを理解している状態を指す」とランダースは言う。

ランダースは、従業員の変革への適応力を高める方法として、有意義な「承認」を挙げる。「毎週承認を受けている従業員は、変化が自身に影響を与える際に十分な説明を受けていると感じる割合が100%高く、AIが業務にどう影響するかを理解している割合が84%高い。リーダーは、AI変革の真っ只中で従業員の仕事がなぜ重要なのかを明確に説明し、それを会社の長期的な展望と結びつけることで、組織にどのように貢献できるかという明確な見通しを人々に示す必要がある」

今日のリーダーが見落としているものがあるとすれば、それは従業員がAIの使い方を知っているかどうかだけでなく、AIに対して「どのように感じているか」という重要性だ。「AIは人間の力を増幅させるフォース・マルチプライヤー(力倍増器)であるべきで、従業員が一方的に受け身で経験するものであるべきではない」とランダースは強調する。

「テクノロジーは新しいかもしれないが、リーダーシップの責任は変わらない。従業員の方向性を合わせ、明確さを与え、彼らを巻き込んで共に進むことだ」

forbes.com 原文

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