経営・戦略

2026.08.19 08:19

優秀な人材が定着する「スティッキーな組織」の作り方

Adobe Stock

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ワールドカップの成功に沸く光景を目にして、優れたチームを作るものは何かを考えさせられた。スポーツと同様、ビジネスにおいても最も成功するチームは「スティッキー(人を惹きつけて離さない)」なチームであり、優秀な選手がそこで力を発揮し、留まりたいと思える場所である。才能ある人材を惹きつけ、定着させ、エンゲージメントを高める職場を築いている企業には、いくつかの共通点がある。自社の価値観と合致する文化を築いていること、金銭的な報酬以上のものを提供していること、そして目標とそこに向けた社員一人ひとりの役割について透明性を持って共有していることだ。

今日の複雑な労働市場において、「スティッキー」の意味は数年前とは異なるかもしれない。AIの台頭により、若手職の候補者はアルゴリズムと競い合い、キャリア最初のチャンスをつかむのに苦労している。一方、経済的な不確実性から、多くの働き手が転職に消極的になっている。スキル不足で候補者が枯渇している業界もあれば、一つの欠員に数百人が殺到する業界もある。こうした状況では、スティッキー性が雇用主の魅力によるものなのか、それとも安定した職を離れることへの慎重さによるものなのかを見極めるのは難しい。

とはいえ、スティッキーな組織がもたらすメリットの大きさは変わらない。定着率の高さは、外部採用にかけるコストの削減につながり、忠誠心の高い社員は自らの職場を誇らしげに語り、社員はここでキャリアを築けると信じているからこそ、しばしば期待以上の働きをする。私が経営するTiger Recruitmentの社員は、社内のコミュニケーションの透明性の高さ、リーダーへの敬意、そして毎日出社することの楽しさを口にしてくれる。私たちには明確な価値観があり、業績目標だけでなく、その価値観に沿った行動をもって成功を測っている。だからこそ社員は、私たちのコミットメントが本物であると理解しているのだ。

では、どうすれば組織はスティッキーになれるのか。採用段階において、候補者はかつてないほど幅広い基準で企業を見ている。Wiley Workplace Intelligenceの調査によると、社員は給与に加え、企業文化、柔軟性、勤務地、福利厚生といった「感情的な報酬」を重視する傾向を強めている。同調査では、Z世代の働き手は企業文化よりも柔軟性を重視することが判明した。自分のニーズやライフスタイルに合わせて働き方をカスタマイズできる余地を求めているのだ。JLLの「Workforce Preference Barometer」では、転職を検討している社員の57%が燃え尽き症候群を懸念していることが明らかになっている。柔軟性とウェルビーイングを適切に整えることは、社員に「入社したい」だけでなく「留まりたい」と思わせる大きな要素となる。

もちろん、育成的な労働環境、柔軟な制度、魅力的な福利厚生を掲げるのはどんな企業にとっても簡単だ。しかし入社後、その約束は本当に果たされているだろうか。私たちは定期的に社員満足度調査を実施し、社員の気持ちや改善点を把握している。このフィードバックに耳を傾け、行動に移すことは、社員が帰属意識を持ち、ここでキャリアを築きたいと感じるために不可欠だ。同様に、GlassdoorやGoogleレビューといったプラットフォームで、現社員・元社員・応募検討者が発している声を無視すべき企業などない。

強固なマネジメント構造もここで重要な役割を果たす。それが文化の伝達経路となるからだ。リーダーは企業の価値観を体現し、範を示し、それをマネジャーと共有する。マネジャーはその価値観をチームに根付かせる。方針を日々の仕事の楽しさへと翻訳し、キャリア開発の約束を、社員が以前から関心を持っていた研修プログラムへの参加という形に結実させ、AIを単なる効率化のためではなく、社員の役割をより楽で良いものにするために活用する方法を考えているのは彼らである。自社の組織図を見て、リーダーやマネジャーはこうした役割を果たしているだろうか。

スポーツと同じで、トロフィーを掲げるチームは、突出したスター選手だけを擁するチームであることは稀だ。優勝するのは、互いに信頼し合い、戦略を理解し、自分の貢献が意味を持つと信じているチームである。スティッキーな職場を作るとは、無料の食事や休暇制度を提供することではなく、組織の価値観を反映した社員体験を一貫して提供し、社員に将来への自信を持たせることだ。現在の労働市場は競争が激しく、絶えず変化している。優れたチームがそうであるように、強い文化と意欲ある人々を持つ企業こそが、課題を乗り越え、変化に適応し、試合終了のホイッスルが鳴ったずっと先まで持続的な成功を収める力を身につけているのである。

forbes.com 原文

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