欧州

2026.08.19 09:00

国防相解任から1カ月余り、ウクライナ全土に今も広がる抗議の波 国民の意図は

ウクライナの首都キーウで、同国のミハイロ・フェドロウ国防相の解任に抗議する数千人の人々。2026年8月16日撮影(Danylo Antoniuk/Anadolu via Getty Images)

ウクライナの首都キーウで、同国のミハイロ・フェドロウ国防相の解任に抗議する数千人の人々。2026年8月16日撮影(Danylo Antoniuk/Anadolu via Getty Images)

ウクライナの首都キーウ中心部の独立広場に近いイワン・フランコ劇場前で15日、数十人の抗議者が段ボール製のプラカードを掲げ、大統領府に向かって声を上げた。群衆は「大統領が私たちの声に耳を傾けないまま、今日で31日が過ぎた」と叫んだ。

争点となっているのは、国防相の解任だ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先月15日、オレクサンドル・シルスキー軍総司令官との対立を理由に、ミハイロ・フェドロウ国防相を解任した。これを巡り国民から抗議の声が上がったことから、同大統領は数日後、シルスキー総司令官をも解任するに至った。

多くの抗議参加者にとって、フェドロウ前国防相は単なる閣僚という枠を超えた存在だった。35歳の若き前国防相は最新技術を積極的に取り入れ、ウクライナ軍の改革を推進した新世代の指導者を体現する人物だった。

フェドロウ前国防相は1月に就任して以来、自国が直面する兵員不足などの課題について率直に語ってきた。同相は議会での演説で、「古い組織構造のままでは最新技術を用いて戦うことはできない。抜本的な改革が必要だ」と訴えた。

同相の手法は、最新技術を活用して軍の人員不足を補い、ウクライナ社会にとって痛手となっている動員の負担を軽減しようとするものだった。だが、この手法は、旧世代の軍指導部を代表する人物と見なされていたシルスキー総司令官との対比を際立たせるものでもあった。

同司令官はキーウ防衛戦や東部ハルキウでの反転攻勢のほか、ロシア西部クルスクへの越境攻撃で実績を残した。他方で、多大な犠牲を出しながらもウクライナ東部バフムトを死守し続けたことなど、不評を買う決断を下したことで、兵力の運用や戦場での損失に対する同司令官の手法は批判を招くこととなった。また、軍事作戦を過度に細かく管理する点も批判されたが、クルスクへの奇襲作戦を組織した際など、時にはそれが同司令官の強みとして発揮されることもあった。

フェドロウ前国防相の更迭を巡る抗議活動は、ウクライナ各地で1カ月以上にわたって続いている。ウクライナ英字紙キーウ・インディペンデントによると、抗議参加者の数は日々変動しており、キーウでは数百人から数千人の範囲で推移している。

抗議活動の焦点は前国防相の解任だけにとどまらない。筆者の取材に応じたキーウ在住のマルク・サウチュクは、フェドロウ前国防相の解任が、政府の度重なる人事異動に対する不満の集結点となっていると述べた。「抗議活動の主な争点は、フェドロウ前国防相にあるわけではないという点を理解する必要がある。本質的な問題は、ゼレンスキー大統領が毎年繰り返す内閣改造に国民がうんざりしていることだ」

サウチュクによれば、フェドロウ前国防相の解任が事態を動かすきっかけとなったのは、多くの国民から好意的に見られていた同相が更迭された一方で、能力不足と見なされる他の高官は依然としてその地位にとどまっているからだという。「つまり、これは『フェドロウ前国防相自身のせい』で起きているわけではない。同相は単に国民の怒りを象徴する存在なのだ」

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翻訳・編集=安藤清香

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