TikTok Shopは、TikTokのアプリ内で商品を売買できる仕組みである。動画やライブ配信を見た人が、その場で購入ボタンを押す。検索して探す顧客を待つ従来型の通販とは、顧客をつかまえる順序が逆になる。日本でも出店でき、登録に初期費用はかからない。手数料は売れた分にかかり、米国では一律6%、日本は商品カテゴリーによって異なる。米国の小規模ブランドにとって、商品を売る場所は長くアマゾンだった。そこに新しい売り場として割り込んできたのがTikTok Shopである。
知名度のないブランドでも、TikTok Shopなら顧客の目に触れられる
新しいソーシャルメディアで販売を始めるのも、通販サイトで販売を始めるのも、小規模事業者にとっては重い作業になりうる。それでもTikTok Shopは、オンラインで最も新しく、最も勢いがある販売の場の1つだ。とりわけ、名前の知られていない新興ブランドが注目を集める手段として力を持つ。フォーブスは、TikTok Shopで通算数年の経験を積んだ電子商取引の実務者数人から助言を集めた。
個々の事業者がTikTok Shopでどのような経験をし、電子商取引最大手アマゾンと比べてどう評価しているかは、別の記事にまとめている。
(1)専用ページで登録手順を確かめ、学習サイトで売り方を学ぶ
TikTok Shopは、出店を検討している新規販売者に向けて、よくある質問や助言をまとめた専用ページ「seller.tiktok.com」を設けている。専用ページには手順を段階ごとに示した案内があり、米国で新たに出店する事業者には最大1万1900ドル(約188万円)相当の特典が用意されている。特典には、TikTokへの広告出稿に充てられる最大1万ドル(158万円)分の無料枠が含まれる。
TikTok Shopで戦略担当責任者を務めるパトリック・ノメンセンは「TikTok Shopを始める手続きは、可能な限り簡単にしてある」と話す。「事業者は、スマートフォンからでもパソコンからでも登録できる」。
TikTokは「TikTok Shop Academy(TikTok Shopアカデミー)」という学習プラットフォームも設けており、電子商取引の実務者に向けて、さらに踏み込んだ研修や助言、ツールを提供している。
(2)動画投稿に全力を注ぎ、一定の投稿量を超える
Ruff Liners(ラフライナーズ)は、犬用の車内シートカバーを手がけるペット用品ブランドである。創業者のブランドン・ヒンメルは、TikTok Shopで自社ブランドを軌道に乗せようとして「3回試し、3回とも失敗した」と語る。TikTok専門のコンサルティング会社を2社雇い、いずれも解約した末に、ようやくたどり着いた答えは単純だった。
「TikTokには全力を注ぎ込む必要がある」とヒンメルは言う。「試しにやってみる程度では、決してうまくいかない。一定の投稿量を超えて初めて、本当の恩恵を得られるからだ」。
動画作成・投稿を「攻め」の姿勢で進め、月2000本まで本数を増やす
投じた労力に見合う反応を消費者から引き出すには、TikTokで動画を作って投稿する作業を「攻め」の姿勢で進める必要があるとヒンメルは指摘する。2025年にヒンメルのチームが投稿した動画は、約600本にとどまっていた。それを2026年6月までに、月2000本というペースまで引き上げた。現在の目標は、歩合制で働くクリエイターが制作した分も含め、2027年に月1万本超を投稿することだ。



