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2026.08.25 16:00

ジェット機を「所有して終わり」にしない。 Japan Biz Aviationが描く、空の使い方

2016年、ある起業家がテレビCMを見て、ジェット機をウェブで買おうとした。この「買えなかった一機」から、日本のビジネスジェットの使い方を書き換える会社が生まれる。

オーナー代表であり、自らも航空パイロットである千葉功太郎と、同社代表の小泉愼にその真価を聞いた。


きっかけは、日曜の夜のホンダの企業CMだった。HondaJet日本1号機のオーナー、DRONE FUND代表パートナーで投資家の千葉功太郎は、振り返る。

「普通に売っていると思ったんです。ところが、いくら探しても購入リンクがない。日本では非売品だと、あとで知りました」

相談を受けたのは、千葉家担当のプライベートバンカー、小泉愼である。日本でジェネラルアビエーションを広めると約束し、日本登録1号機「JA-01JP」を迎えた。

もっとも、2019年6月の初飛行までに直面したのは、飛ばせない現実だった。格納庫もパイロットもノウハウもない。国内の既存事業者に運航を委ねようとしても、相応の予約リードタイムが必要となる場合が多く、自由度が限られた。思い立った日に行きたい場所へ飛べないなら、プライベートジェットをもつ意味はない。自由に応える体制がないなら、自分たちでつくる。それがJapan Biz Aviation(JBZ)の土台になった。

その過程で小泉が手を組んだのが、航空機の整備を担ってきたJapan General Aviation Service(JGAS)だった。オーナー側の実需を知るプライベートバンカーの視点と、整備を通じて航空機の安全を支えてきた現場の専門性。ふたつが結びつき、JBZは安全面と実用面を備えた。

移動が、経営資源に変わる

操縦資格をとり、自ら機体を飛ばすこともできる千葉は、投資家、パイロット両者の立場から、HondaJetを所有した体験を「時空がゆがむ」と表現する。

「陸路なら8時間かかる利尻からオホーツクへの移動が、30分で終わる。自分が知っていた日本地図の移動の概念が、すべてゆがんだんです」

朝は熊本、昼には石垣島。機内はプライベート空間で、移動時間が会議室になる。千葉はこの時間価値を法人利用の核と見る。

「意思決定はAIが支えてくれる時代です。だからこそCEOの最後の仕事は、その場に行って、目を見て話すことになる」

その移動を支える体制を、どうつくるのか。

「航空機は、買ってからが本番。運航、整備、格納、パイロットの手配、共同所有の調整まで、私たちはすべてをオーナーの側から設計します。『30分後に乗りたい』という電話にお応えしたことだってあります。空を、オーナーの思いどおりに使える道具にする。それがJBZの提供価値です」

JBZ代表の小泉は理念を語る。現在もプライベートバンカーとして富裕層の実需に向き合う経験が、「航空会社の常識」よりも「顧客の目的」を優先する社風をかたちづくっている。オーナーの課題解決に向き合った結果たどり着いたのが、航空運送事業者としての体制だった。

利活用の土台にあるのが、共同所有と運航受託のスキームだ。日本でも航空機は、不動産の登記のように、航空機登録原簿へ共有持ち分を登録でき、JBZは2019年から累計8機を受託・運用してきた。運用ルールはオーナーミーティングでブラッシュアップを繰り返している。

一方で、航空機を資産として活用するため、オーナーの資産と信用、利用者の安全を守るためにも、誰が安全管理・運航管理・責任体制を担うのかを明確にする必要がある。国内には、航空機の貸し渡しと乗員手配を別契約・別請求とし、利用者から見るとチャーターに近いかたちに見える提供形態もあるためだ。

JBZは創業前、この点について国土交通省に法令適用事前確認を行った。そこで示されたのは、照会で示した事実関係の下では、航空機の貸し渡しのみにとどまる場合は航空運送事業等の規制対象とはならない一方、特定の機体を特定の操縦士が繰り返し操縦するなど、実態として航空機の貸し渡しと乗員手配が一体的に行われていると認められる場合には、個別の実態に応じて航空法の適用対象と判断されうるということだった。だからこそJBZは、オーナーと利用者を守る責任体制を明確にするため、正面から航空運送事業者としての体制を整え、許可を取得した。

「航空運送事業者としての体制を整えたことで、オーナーが使わない時間をチャーターとして活用できるだけでなく、オーナー同士の相互利用も同じ枠組みで実現できるようになりました。維持費のかかる所有物だった航空機が、オーナーの時間価値・資産価値・事業価値を生み出す航空インフラへと変わるんです」

JBZの共同所有では、機体代や維持費を分割するほか、購入後の運航、整備、利用調整、事業機としての活用、追加オーナーの参加や将来の出口までを一体で設計する。

中型機が開く、次の空

2026年に国内へ初めて導入されたEmbraer Praetor600。JBZは同機の共同所有に加え、年会費型の会員制サービスのローンチも予定する。会員価格での利用や、オーナー移動に伴う回送便(エンプティフライト)の会員向け案内など、所有の手前に「まず空を使ってみる」入り口を整える。
2026年に国内へ初めて導入されたEmbraer Praetor600。JBZは同機の共同所有に加え、年会費型の会員制サービスのローンチも予定する。会員価格での利用や、オーナー移動に伴う回送便(エンプティフライト)の会員向け案内など、所有の手前に「まず空を使ってみる」入り口を整える。

2026年、JBZは国内初導入のエンブラエル製中型機Praetor600を共同所有スキームで迎えた。東京からシンガポールやホノルルへ直行でき、8月中旬の運航開始を予定する。高速Wi-Fi付きの機内は、洋上でも執務室になる。国内移動が得意なHondaJetに対し、Praetor600はその射程をアジア圏まで一気に広げる。

国際チャーター運航に対応できる日本のジェネラルアビエーション領域の航空運送事業者は、片手で数えるほどに限られる。外国籍機は国内チャーターに使えない(カボタージュ規制)。日本籍で国内外を飛べる立場は、国際ビジネスとインバウンドの受け皿として独特だ。

近距離はヘリコプター、国内はHondaJet、長距離はPraetor600。固定翼と回転翼の双方で航空運送事業を営む希少な事業者として、ジェットで空港へ、ヘリで目的地の目前へ、ラストワンマイルまで一体で結ぶ。拠点は函館、成田、羽田、鹿児島に分散し、BCP需要にも応える。

HondaJetの日本登録機は、6年余りで17機に増えた。千葉はその先を見ている。

「DRONE FUNDでは、空飛ぶクルマが当たり前になる社会に投資してきました。日本には民間機が使える空港が約100もあって、日中は空いている。眠っている国家資産です。ヘリとジェットが先にネットワークをつくり、そこに空飛ぶクルマが合流すれば、全国どこへでも1〜2時間で届く交通網になる。新幹線や高速道路を新しく敷くのに比べれば、投資はごくわずかで済むんですよ」(千葉)

買えなかった一機から始まった空に、次の機体たちが合流しつつあるのだ。


Japan Biz Aviation

https://www.j-bizavi.com/


左:ちば・こうたろう◎DRONE FUND代表パートナー、投資家航空パイロット(自家用操縦士)。2017年にドローン・エアモビリティ特化のDRONE FUNDを創設。HondaJet日本登録1号機「JA-01JP」のオーナーとして、共同所有スキームを体現するオーナー代表を務める。

右:こいずみ・しん◎Japan Biz Aviation代表。プライベートバンカーとして千葉家をはじめ富裕層の実需に向き合い、2019年から航空機の共同所有・運航受託の実務を展開。航空運送事業許可の取得を主導し、現職。

Promoted by Japan Biz Aviation | photographs by Mizuaki Wakahara | text by Tsuzumi Aoyama