ビジネス

2026.08.18 17:26

コアバリューの「本末転倒」に気づき、軌道修正する方法

stock.adobe.com

stock.adobe.com

CEOとしての私の経験から言えば、多くの企業がコアバリューを本末転倒な形で捉えている。経営陣は何週間もかけて完璧な表現を議論する。マーケティング部門はウェブサイトの専用ページをデザインする。採用担当者は求人票にそれらを盛り込む。顧客はマーケティング資料でそれらを目にするが、最終的に従業員は関心を持たなくなる。そして、コアバリューは何の効果も発揮しなくなるのだ。

私の経験上、これは通常、日々意思決定を下し、実務をこなしている人々のためにではなく、社外のオーディエンスに向けてバリューが作成されているために起こる。

「制約」を課すコアバリュー

私はエンジニアリングの出身なので、自然とシステム思考で物事を捉える。信頼性の高いシステムはすべて、設計上の制約条件の中で稼働している。それらの制約があるからこそ、誤った意思決定が下される前にそれを排除できる。企業のバリューも同様に機能すべきである。

コアバリューとは、目指すべき憧れのようなものであるべきではない。むしろ、選択肢を狭めるものであるべきだ。もし、あるバリューによって、採用を見送ったり、売上を諦めたり、プロセスを再設計したり、あるいはより簡単な手段よりも多くの資金を費やしたりせざるを得ない状況が生まれないのであれば、それはビジネスの指針として機能していない。それは単に、自社が「そう見られたい」と思う企業の姿を説明しているにすぎない。

企業が成長するにつれ、この違いはより重要になる。創業期は、創業者が重要な意思決定のほとんどを自ら行うが、組織が拡大するにつれて、それらの意思決定はマネジャー、営業、オペレーション、財務、人事、現場チームへと分散していく。共通の意思決定フレームワークがなければ、各部門は独自の優先事項を最適化しようとしがちだ。営業は売上高を追い、マーケティングは予算を求め、財務は予算を削り、オペレーションは効率性を追求する。

これらの目標はいずれも間違ってはいないが、最終的には互いに衝突し始める。コアバリューは、そうした対立が発生する前に解決するのに役立つものであるべきだ。

コアバリューをより有効に活用する方法

私の会社では、すべてのコアバリューが「これによって、私たちはどのような意思決定を迫られるか」という1つの問いに答えるように策定されている。

例えば、当社のバリューの1つは、設置チームを完全に内製化することだ。これはマーケティング向けのメッセージではなく、制約事項である。つまり、需要が急増したときや、外注すれば短期的な利益率が向上するような場面であっても、下請けに出さないことを意味する。このバリューは、採用、研修、スケジュール管理、予算編成、長期計画に影響を及ぼすが、同時にチームが一貫性と責任を維持する上でも役立っている。

もう1つのバリューは、技術的な「誠実さ(インテグリティ)」だ。これは、製品の推奨が利益率の最も高い選択肢ではなく、性能データと長期的な耐久性に基づいて行われることを意味する。そのため、簡単に成約できたはずの案件を逃すこともある。しかし、これは私たちが長年築き上げてきた評判を守ることにもつながっている。

どちらのバリューも、顧客を感銘させるために存在しているのではない。それらは、経営陣が目を光らせていないときでも、従業員が一貫した意思決定を行えるようにするために存在している。そして、これこそがコアバリューの真の試金石であると私は信じている。

自社に適したバリューの選び方

自社の従業員が、それぞれのバリューによって明日からの業務の進め方がどう変わるかを説明できるかどうか、自問してみてほしい。さらに言えば、経営陣が個人の意見ではなく、客観的な基準に基づいて、意思決定がそれらのバリューに沿っているかどうかを検証できるか問い直してみることだ。

「誠実さ」「品質」「イノベーション」「卓越性」といったありきたりな言葉が本質的に悪いわけではない。ただ、それだけでは不十分なのだ。もし「品質」をコアバリューとするならば、それを定義しなければならない。それを達成したかどうかを判断する指標は何か。そのために必須となるプロセスは何か。どのような近道が許されなくなるのか。これらの答えが明確でなければ、従業員はそれぞれが独自の定義を作り出してしまうだろう。

コアバリューは、常に実行できるように客観的に測定可能でなければならない。それらは採用決定、業績評価、業務手順、製品開発、サプライヤー選定、予算編成、戦略計画などに反映されるべきだ。もし会議室の壁や企業のウェブサイトにしか現れないのであれば、それは行動指針ではない。単なるコーポレートブランディングである。

おわりに

あらゆるリーダーにとって最も難しい教訓の1つは、すべての企業にすでにコアバリューが存在していると気づくことだ。唯一の問題は、それが意図的に設計されたものか、あるいは繰り返される行動によって偶発的に形成されたものか、という点にある。

組織文化は、経営陣が口にすることによって築かれるのではない。経営陣が何を継続的に評価し、何を容認し、何に対して妥協を拒むかによって築かれる。自社のバリューが魅力的に聞こえるかどうかを問うのはやめ、そのバリューが選択肢を狭めているかどうかを問い始めるべきだ。意思決定を制約しないのであれば、それは行動を方向付けることはなく、行動を方向付けないのであれば、それはそもそもコアバリューとは呼べない。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事