AI企業の見極めは、経営者に帰着する
では、個人投資家は、有望なAI企業をどのように見極めればいいのでしょうか。
私は、まず経営者を見るべきだと考えています。AIの市場はまだ完成しておらず、テクノロジーをどこで使い、どのように収益化するかを自ら切り開かなければなりません。すでに確立されたビジネスモデルを効率よく運営する事業以上に、経営者の能力や思想が会社の行方を左右します。
技術の話ばかりをして、顧客や収益化の話が出てこない経営者は危うい。反対に、AIという言葉を使いながら、技術的な裏付けが見えない会社も危険です。テクノロジーとビジネスの両方を自分の言葉で語り、その間を埋める具体的な道筋を示せるかを見る必要があります。
とは言え、一般の個人投資家が経営者と接することができるのは、四半期の決算説明などの場に限られてしまうと思います。そこで私が実際に使っている方法をひとつ、ご紹介します。
会社四季報に掲載されている企業の事業内容や業績・材料に関する文章を、数年分さかのぼって読み比べてください。毎年ほとんど同じ説明が続き、事業の中身も方向性も変わらない会社は、進歩がない可能性があります。
一方、売り上げや利益を伸ばしながら、重点領域や事業の中身を変え続けている会社は、進化していると見ていいと思います。ただし、方針だけが頻繁に変わり、数字が伴っていない場合は、進化しているのではなく迷走です。言葉の変化と業績の変化がつながっているかを見なければなりません。
AI企業の価値は、最新のテクノロジーを使っているかどうかでは測れません。経営者がテクノロジーをどこまで理解し、それを誰のどの課題解決に使い、どう利益へ変えようとしているのか。PKSHAはそれを考えるうえで、非常に示唆の多い会社ではないでしょうか。
おおひつ・なおと◎ミダスキャピタル専務取締役パートナー。1988年、富士銀行(現・みずほ銀行)入行。複数の営業店勤務を経て、本部にてM&A業務や法人取引獲得を推進。2022年に同行常務執行役員リテール事業法人部門・副部門長に就任。スタートアップ企業の経営者と年間1000社と面談を重ねてきた。24年に銀行員として初めてNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演。25年4月、ミダスキャピタル社外取締役、同年10月から現職。


