日本流のAI活用に勝機
PKSHAはビジョンに、「人とソフトウエアの共進化」という言葉を掲げています。これは単なる理念ではなく、事業を選ぶ際の基準として機能していると見ています。
上野山さんは、欧米で発展してきたAIをそのまま日本へ持ち込めばいいとは考えていません。論理的な問題解決や個人の生産性を高めるAIだけでなく、人と人の対話や協働を支えるAIが必要だと考えています。それが「コネクティブAI」という発想です。
例えば、コンタクトセンターで顧客と担当者の意思疎通を助ける。社内に散らばる知識をつなぎ、必要な人へ届ける。熟練者の判断を他の人が活用できるようにする。人を単純に減らすのではなく、人が築いてきた関係や、培ってきた技能をAIによって支え、さらに生かしていく考え方です。
私は、この方向性には日本の市場を超えた可能性があると思っています。人間関係や組織内の協調を重視する社会は、日本だけではありません。少なくとも、米国で生まれた効率性に最適化したモデルをそのまま持ち込むのとは異なる、独自の市場を生み出す余地があります。
上野山さんから「これから知性として重視されるのは、知識に加え、世界に働きかけ、実際に変化を生み出すこと」と説明されたことがあります。社員が持つ知識を、意思決定や顧客対応、現場の行動へつなげて初めて価値が生まれる。わかりやすい説明ですが、AI企業を見るうえで本質的な指摘です。


