テレグラムでおよそ25万人の購読者を持ち、ロシア国家院(連邦議会下院)のビャチェスラフ・ボロージン議長の顧問を務めたこともあるロシアのブロガー、アナスタシヤ・カシェバーロバは2024年、ロシア軍が組織的に負傷兵を戦闘任務に用いている実態に注意を喚起した。
ロシアの別のテレグラムチャンネル「戦争のそばで(ボーズレ・バイヌィ)」もこうつづっている。「わたしの記憶では、破片で脊椎の棘突起(きょくとっき)を損傷し、その破片が脊椎付近に刺さったままの志願兵を前線に送り込もうとした例がある。その人は両脚が麻痺し、血圧も跳ね上がっていた。それなのに、彼はこういう趣旨のことを言われた。『破片を抱えたまま前線に行け。騒ぐな」と。その人から破片を取り除くだけでもたいへんなことだった」
虚偽報告のつじつま合わせが生む圧力
障害を負った兵士を戦闘に再び投入する圧力は、ロシア軍内のより広範な問題に根ざす面もある。ロシア軍の指揮官たちは上官から処罰されることを恐れ、戦場での戦果をしばしば誇張して報告し、いわば「ツケで領土を獲得する」状態に陥っている。実態よりも先まで前進したと上層部に報告することで、現場の部隊には、そうした報告を現実のものにしなければならないという圧力がかかる。
ロシア軍は、少人数のグループをウクライナ側の陣地に潜入させ、旗を掲げさせることを繰り返してきた。これは、実際にはその土地を支配していなくても、「前進した」という一応の証拠を指揮官に与えることになる。ただ、米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は6月、ロシア軍は一部の方面で戦術的成功を偽装するため、AI(人工知能)で作成したとみられる国旗掲揚映像を公開していると報告している。
2025年末、こうした慣行はクレムリンにとっても危ういものであることが露呈した。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ロシア軍の指揮官らはプーチンに対し、東部ハルキウ州クプヤンシクを占領したと報告した。ところがその数週間後、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領がクプヤンシク近くに姿を現し、市の入口標識の脇で動画を撮影した。その時点でも、ウクライナ防衛軍は引き続きクプヤンシク一帯の大半を保持していた。


