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2026.08.31 16:00

決済システムが、ビジネスの成長速度を変える——AI時代の新たなインフラの姿

かつてはバックオフィスのコストと見なされていた「決済」の領域。それがいま、企業の命運を左右する経営アジェンダへと姿を変えようとしている。

AI時代における決済インフラの変化と未来像を、ストライプジャパンの代表取締役・平賀充が語った。


2010年に米国で創業され、オンライン決済プラットフォームを展開しているStripe。

Stripeの世界における立ち位置は圧倒的だ。

現在、グローバルで約500万社が同社のプラットフォームを利用し、その年間決済取扱高は日本円にして約300兆円(約1.9兆ドル)に達する。

これはグローバルGDPの1.6%ほどに相当する規模である。

顧客層も厚く、ダウ工業株30種平均の構成銘柄の90%がStripeを導入しており、Microsoft、Google、Amazonといったエンタープライズ企業から、設立されたばかりのスタートアップまでが、Stripeを活用している。さらに、米Forbesが選ぶ、注目すべきAI企業のトップ50社「AI 50」のうち、88%が収益化にStripeを利用。

日本市場においても、サービス開始から10年の節目を迎え、トヨタ自動車、メルカリ、東急グループ、DeNAといった日本を代表する企業が、収益基盤の強化のためにStripeを採用している。

世界の経済活動の1.6%を支える「見えない巨人」

グローバルの多拠点でビジネスを展開するエンタープライズ企業にとっては、各国の通貨、税制、コンプライアンスに対応しなければならないが、Stripeはそのすべてに対応可能だ。都度払いやサブスクリプションなど、多様な決済手段も実装している。

ビジネスの拡張に素早く対応できる決済インフラであることも、大きな支持を得る要因だ。

現在の代表取締役である平賀は、産業を支えるインフラ構築への情熱に溢れる人物である。

そのキャリアを紐解くと、スウェーデンの通信機器大手エリクソンでモバイルブロードバンドの夜明けを支え、マイクロソフトでは企業のクラウドシフトというIT革命の最前線に身を置いた。

インフラとテクノロジーの掛け合わせで、産業に与えるインパクトは莫大なものになることを肌で感じてきた平賀は、「次なるインフラの変革が起きるのは決済の領域」と断言する。

「私が通信やクラウドの世界で経験してきた変革を、金融や決済の分野でも実現していきたい。スタートアップやミッドマーケットを支え続けると同時に、大企業から起こるデジタル変革を決済の側面から加速させることに、強い手応えを感じています」

Stripeはいま、500万社から寄せられる多様なビジネスニーズをもとに、決済の新たな未来を描こうとしているのだ。

1%の承認率向上が生む、数億円のインパクト 

平賀充 ストライプジャパン代表取締役
平賀充 ストライプジャパン代表取締役

なぜ、これほどまでに世界中のリーダーたちがStripeを支持するのか。

平賀は「決済を変えることは、ビジネスの成長速度そのものを変えることだ」と力強く語る。

多くの企業にとって、決済は普段気にかけることが少なく、当たり前に存在しているものかもしれない。

しかし、その質がわずかに下がるだけで、ビジネスには莫大な損害が生じる。

Stripeの調査によれば、決済時に一度でも失敗を経験した消費者の40%は、二度とそのサイトやサービスに戻ってこないことが明らかになった。決済の一瞬のつまずきが、多くの顧客を失うことにも直結するのだ。

Stripeは「Authorization Boost」という機能を提供している。同機能は、カード発行会社ごとの最適なリトライを行い、誤った決済拒否の回復、カード情報の自動更新による非自発的な解約防止、ネットワークトークンによるコスト削減までを一つのプロダクトで実現し、平均3.8%の承認率向上をもたらしている。

「例えば、100億円規模の事業を展開している企業があるとします。仮に決済の承認率が1%向上すれば、年間で1億円もの売上損失を回避できる計算になるのです。決済はバックオフィスの事務作業ではなく、売上を伸ばすためのアグレッシブな武器になる。『未開の金脈』であることに気づき始めた経営者が、日本でも急速に増えています」

国内事例の一つとして、スーツケースブランドのサムソナイト・ジャパンでは、3Dセキュア2.0の導入後に決済の失敗が急増し、購入完了率が落ち込んでいたという。

そこで、Stripeの不正検知AI「Radar」を活用。リスクの高い取引にのみ追加認証を絞り込むことで、支払い成功率98%を実現している。

Stripeはまさに、事業収益に直結するインフラを提供しているのだ。

人が介在しない買い物=エージェンティック・コマースの衝撃

現在、平賀が見据えているのは、AIがビジネスのあり方を根本から変える「エージェンティック・コマース」の時代だ。

「これまでの買い物は、人間が欲しいものを検索し、比較し、購入するステップがありました。しかしこれからは、AIエージェントが人間に代わって商品を探索し、最適なものを判断し、決済までを完結させる世界がやってきます」

Stripeのサービス自体を一例にとってみれば、AIエージェント経由でStripeを見つけて登録する企業の数は既にこの1年で約3倍に増えている。ChatGPT、Gemini、Meta、Microsoft Copilotといった主要なAIエージェントが、Stripeのインフラを通じて決済を実行できる。

このパラダイムシフトにおいて、決済インフラに求められる要件は一変する。

まず、決済のプログラム可能性である。AIエージェントは人間のようにウェブページを見て入力するのではなく、APIを通じて決済を実行する。決済インフラがAPIファーストで設計されていなければ、AIが商品やサービスを認識し、選定し、購入までをシームレスに完結させることができない。

さらに、人間による認証ができないAIエージェントに対し、どの金額まで、どういった範囲で買い物を許可するか高度な権限管理とセキュリティが必要だ。

こうした利便性と安全性を両立させることに加え、拡張性も求められる、と平賀は語る。

「自分たちが寝ている間にも、AIエージェントがグローバル規模で数百万、数千万件もの決済を瞬時に行うようになります。その圧倒的な規模を支えられるインフラを選んでいるかどうかが、企業の成否を分けることになるでしょう」

Stripeは、人間を介さないAIエージェント同士の決済を実現するためのプロトコル「Machine Payment Protocol」の開発を既に進めており、人間ではなくAIが顧客となる新しい経済圏のスタンダードを構築しようとしている。

自らもAIで爆速の進化を遂げる

確実に到来するであろう決済の新潮流をふまえ、StripeではAIを駆使して自らの進化を加速させている。

まず、提供するプロダクトの随所にAIが深く組み込まれている。

冒頭にあった通り承認率を最適化する、Authorization Boostは、カード発行会社ごとの最適なパラメータでリアルタイムにリトライを行い誤拒否を回復する。

3Dセキュアの認証判定にもAIを活用し、リスクの高い取引にだけ追加認証を要求することで、正規ユーザーの離脱を防ぐ。チェックアウト画面では、顧客ごとに最も利用されやすい決済手段をAIが自動で表示順を最適化する。

不正検知の「Radar」は約300兆円の決済データで学習したモデルが常に進化し続ける。

人間がルールを書いて対応する従来型ではなく、新しい不正パターンが出現すれば自動的に検知ロジックが適応する仕組みだ。

「決済の裏側で動いているAIは、外からは見えにくい。しかし承認率の最適化、不正検知、認証制御、UIの表示順まで、すべてが機械学習で動いています。お客様が意識することなく、決済のたびにAIが最適解を導き出している。」

社内の開発体制にも、同様のAI革命が起きている。現在は自律型AIコーディングエージェント「Minions」を内製し、開発サイクルそのものを変革した。

「Minionsは、Slackでの指示からコードの生成、テスト、プルリクエストの提出までを自動で完結させます。毎週1,300件以上のプルリクエストを生成し、300万件以上の自動テストで品質を担保した上で、エンジニアのレビューを経て本番環境に反映されます。年間300兆円超の決済を支えるコードに対応するスピードと品質を両立できる体制を築いています」

このプロダクトに内在するAIの層の厚さと、圧倒的な開発スピードの掛け合わせこそが、変化の激しいAI企業がパートナーとしてStripeを選ぶ大きな理由の一つとなっている。

「AI企業のスピード感は、凄まじいものがあります。昨日生まれたアイデアを、今日中にグローバルの各拠点で同時にローンチしたいというニーズに対し、我々のプラットフォームなら初日から世界中の通貨で安全に資金を受け取る環境を提供できます。このスピード感についていけない決済インフラは、もはやパートナーに選ばれなくなるでしょう」

「インターネットのGDPを拡大する」という不変の使命

こうした開発力の背景にあるのが、創業以来変わらない「インターネットのGDPを拡大する」という企業使命である。

「テクノロジーがどれほど進化しても、我々の役割は変わりません。AIやステーブルコインといった新しい技術を社会実装し、誰もが経済活動に参加できるインフラを提供し続けることです」

グローバル化や決済方法の多様化など、あらゆる変化や拡張に対応し続けてきたStripe。AI時代が本格化しても、その根底にある思想は過去から一貫している。

だからこそ、これからも世界的な決済プラットフォームであり続けるのだ。

2026年9月30日、Stripeは年次イベント「Stripe Tour Tokyo 2026」を開催する。日本上陸10周年を記念し、本国の共同創業者兼社長ジョン・コリソンも来日を予定している。そこで発表されるリリース予定のプロダクトは、日本企業の成長速度をさらにアップさせるものになるだろう。

「10年後の世界では、お金を支払う体験そのものが、いまとは全く違う形になっているはずです。その変革を、日本のパートナーの皆様と共に創っていきたいと思います」

見据えるのは、決済がAIと人間で共創される新しい文明となる世界だ。Stripeは、自らの手でその未来像を実現しようとしている。


ひらが・みつる◎ストライプジャパン代表取締役。2023年2月より現職。クイーンズランド大学卒業後、エリクソンでメディア事業の日本統括などを歴任。マイクロソフトを経てStripeに参画し、デジタルネイティブセグメントのリードとして成長を牽引した後、現職に就任。

Promoted by ストライプジャパン | text by Takako Miyo | photograph by Tomohisa Kinoshita | edited by Nayu Kan