富を築く人々はこうした忠誠心を持たない傾向がある。プロジェクトを即座に打ち切り、成長につながらなくなった仕事を辞め、別れの挨拶もせずに役職を手放す。同僚たちはそれを軽率だと受け止める。だが実際に起きているのは、過去の決断が現在の決断に影響を及ぼすことを拒んでいるだけなのだ。
その違いのポイントはタイミングにある。衝動的な辞め方は気分が落ち込んでいる最中に起こる。有益な撤退はあらかじめ設定しておいた条件を満たしたときに起こる。ある数字や日付、あるいは達成されなかったマイルストーンなどだ。どちらも突然であるという点では同じだが、その背後で働いている仕組みはまったく異なる。
習慣3:些細なことを即座に決める
3つ目の習慣は不注意のように見える。すばやく選択し、受け入れられる最初の選択肢を選び、比較することを拒むという習慣だ。
人間が実際にどのように意思決定するのかについての研究でノーベル賞を受賞したハーバート・サイモンはこれを「満足化(サティスファイシング」と名づけた。これは、可能な限り最良の選択肢を探す「極大化(マキシマイジング)」とは対照的に、ある程度の基準を満たす最初の選択肢を選ぶことを指す。この違いに関する研究では、概ね一貫した結果が得られている。極大化を目指す人はわずかに良い結果を得ることが多いものの、後悔や「あの時こうすればよかった」という思いに苛まれ、結果に対してより強い不満を抱く傾向がある。
金銭面での影響は、気分の問題よりもさらに微妙だ。注意力には限りがあり、精神的な処理能力が使い果たされると、実際の金銭が絡むものを含め、あらゆる意思決定の質が低下する。40ドルの購入を最適化するために1時間を費やす人は、4万ドルの重要な問題に対処するために必要なリソースをそこで使っていることになる。熟考にはコストが発生するのだ。
優れた習慣によって富を築く人は昼食のメニュー選びや家電の購入、航空券の予約については驚くほどすばやく決める一方、10年に3、4回しかない、実際に状況を一変させるような選択については驚くほど時間をかける傾向がある。


