ほとんどの人が心理学実験の「マシュマロ・テスト」を知っている。もっと多くのお菓子をもらうために目の前の1つのお菓子を我慢できる子どもは、大人になってから人生で成功するというものだ。
これはお金にまつわる通俗的な理論となり、富とはじっと待つことへの報酬であるかのように考えられてきた。だが実際はこの有名な実験が示唆するほど単純ではない。子どもがどれだけ長くお菓子を我慢できるかは、周囲の大人が信頼できる存在だったかどうかに大きく左右されるからだ。それでもこの実験から導き出された「忍耐は良いもの、衝動は悪いもの」という教訓は定着している。
その結果、ある種の金銭的な失敗は非常に想像しやすい一方で、別の種類の失敗はほとんど目につかないものとなっている。週末に給料をすべて使い果たしてしまう人の姿を誰もが容易に思い浮かべるだろう。
一方、2019年からずっとインデックスファンドについて調べ続け、見事に整理されたスプレッドシートを持っているにもかかわらず、実際には何一つ投資していない人物を想像できる人ははるかに少ない。この場合、語るべき物語も破滅も後悔する瞬間も生まれない。ただ何年もの歳月が静かにゆっくりと失われていくだけだ。
性格研究者は数十年前から衝動性を1つの概念として扱うことをやめている。主流のモデルでは、衝動性を先のことを考えずに行動すること、苦痛に駆られて行動すること、スリルを求めることなど複数の面に分けており、それぞれがまったく異なる人生を予測する。経済的な破綻を招くのは衝動、つまりある感情から逃れるために行動することだ。
以下の3つの習慣は一見するとそれに似ているが、実は同じではない。
習慣1:「準備ができた」と感じる前に動く
個人の資産管理に関して最も高くつく習慣は使いすぎではない。準備ができたと感じるまで待つことだ。
悪影響を及ぼすのが現状維持バイアスだ。学術誌『Meta-Psychology』に2021年に掲載された研究では、この効果に関する昔の実験が再検証され、検証されたシナリオの大半においてその効果が依然として認められた。投資の選択や予算配分、仕事のオファーなどにおいて、人は「現状」として提示された選択肢に傾く傾向が見られた。中立的な形で提示された場合でも同様の傾向が確認された。
何もしないことは、そのコストが目に見えないため安全に感じられる。ファンドへの投資や給与交渉は行われず、サイドプロジェクトも立ち上がらない。悪いことは何も起こらない。だが、まさにそこが問題なのだ。一方、早い段階で下した不完全な決断は何年にもわたる複利効果をもたらす。遅れて下した完璧な決断では決して取り戻せないものだ。



