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2026.08.18 10:21

エンタープライズAIの正念場:AI支出が110%急増する一方、基盤システムは追いつかず

Adobe Stock

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ServiceNow(サービスナウ)がエンタープライズAIの成熟度を測定し始めてからの3年間において、2026年は目覚ましい回復を記録し、エンタープライズAI成熟度指数(Enterprise AI Maturity Index)は16ポイント上昇して100点満点中51に達した。

しかし水面下では、AI投資から有意義な成果を得るために、必死のバタ足が行われている。世界の経営幹部4500人と従業員2000人を対象とした調査によると、AIへの支出が110%急増した一方で、基盤となる能力がそれに追いついておらず、規模の拡大を阻んでいることが明らかになった。

「私たちが現在抱えているのは、データのパッチワークキルト(つぎはぎ)のようなものです。そのため、その環境全体でワークフローを実行しようとすると、すぐに継ぎ目が露呈してしまいます」と、ServiceNowのグローバル産業・ソリューション担当シニアバイスプレジデントであるホリー・ブリーディスは語る。言い換えれば、誰もがAIを購入したが、AIのために環境を構築した企業はほとんどないということだ。断片化されたシステムとデータは、断片化された成果しか生まない。

成熟度スコアで上位21%を占める「ペースセッター(牽引役となる企業)」は、導入後ではなく導入前に、接続されたデータとガバナンスを構築する傾向がある。速度よりも目的(意図)を重視する姿勢がペースセッターに恩恵をもたらしており、AI投資を最大限に活用しようとする企業にとっての手本となっている。

ServiceNowエンタープライズAI成熟度指数から得られる5つの示唆を探り、AIを拡張するための戦略を学ぶ。

投資は本物だ。だが、それを支えるインフラが追いついていない。ブリーディスが表現するように、ほとんどの組織は「ゴーカートのインフラでフォーミュラ1(F1)を走らせようとしている」状態なのだ。

データの近代化(モダナイゼーション)は、かつてはIT部門の予算項目の一つにすぎず、後回しにされがちだった。しかし、過去のその戦略が、今日の企業に代償を払わせている。

データが分断されていると、AIに文脈(コンテキスト)が不足するため、技術が信頼性の低い成果しか出せなくなる。「導入曲線が停滞するのは、技術が失敗したからではなく、その下にあるデータが失敗したからだ」とブリーディスは指摘する。

ペースセッターから学びを得よう。彼らの64%がデジタル上でデータを統合・最適化しているのに対し、それ以外の企業ではわずか14%にとどまる。ペースセッターはデータの問題に遭遇する割合が低いわけではない。単に解決が早いだけであり、この戦略こそが大規模なAI活用の試みを成功させるために不可欠なのだ。

エージェンティックAI(自律型AI)が企業の部門横断的に機能するためには、接続されクリーンな状態に整えられたデータ基盤の上で、それらの部門が連携(オーケストレーション)されていなければならない。それを怠れば、場当たり的な成功にとどまることになる。

「既存のワークフローの上にAIをただ乗せるだけのことは避けるべきだ」とブリーディスは助言する。ペースセッターはAIを設計上の重要な決定事項として捉えており、ビジネスをゼロから再構築する場合、どのように異なる形で機能するかを再考する機会としている。ペースセッターの57%は、単なる効率化を超えた、AIに対する共通の戦略的ビジョンを策定している。彼らは機能していないプロセスを最適化しているのではなく、仕事の流れ(ワークフロー)を再設計しているのだ。

「自動化する前にプロセスを修正し、学習させる前にデータを標準化し、連携を図る前にシステムを統合することだ」とブリーディスは言う。

3マイル(約4.8キロメートル)ごとに工事で通行止めになる高速道路を運転しているところを想像してみてほしい。スピードを出しても大して進めず、数多くのボトルネックが進行を阻む。これこそ、データのサイロ化(部門間でのデータの分断)によってAIが勢いに乗れない企業で起きていることだ。

人間はデータのサイロを回避して仕事を進めることができるが、AIにはそれができない。「企業において、AIは横断的に(東西方向に)問題を解決するためのものだ」とブリーディスは指摘する。マネージャーは自身の役割を特定の領域(ドメイン)に限定されたものと考えがちだが、部門を超えて問題を解決することこそが、AIの持つ強み(スーパーパワー)の一つなのだ。

「単一の領域で課題と格闘するのではなく、自社を悩ませている上位3〜5つの課題から着手し、その経路と関連するデータの構造を追跡して、対処すべき抜け穴を見つけ出すとよい」とブリーディスは勧める。部門間でのデータの可視性を高め、データのサイロ化を解消することで、AIの導入効果が高まり、より具体的な成果が得られるようになる。

透明性の欠如や誤情報の拡散リスクの増大は、一つの部門内に閉じていても十分に懸念すべき問題だ。それを部門横断的に展開すれば、問題が深刻化する恐れがある。

不適切なガバナンスが原因で、従業員がAIの出力結果を信頼できなくなると、彼らは技術を避けて通るようになり、AIの導入は停滞する。「AI変革が最終的に成功するか失敗するかは人にかかっている。従業員が、必要なツールを十分に与えられていない、サポートされていない、あるいはその変革プロセスに参加していると感じられない場合、組織が投資価値を享受することは難しくなる」とブリーディスは指摘する。

ガバナンスプロトコル(統治規律)が整っていると、誰もが混乱の中から真実を見極めることができる。自律性はコントロールの欠如を意味しない。企業全体としてのガバナンスプロトコルを確立することは、自律的に機能するための「足場(フレームワーク)」を提供するにすぎないのだ。

「AIがこの先どうなるか予測がつかない中で、従業員をどのようにトレーニングすればよいのだろうか。必要なのは、組織の適応力を高めることだ」とブリーディスは推奨する。

調査対象となった従業員の半数が、AIエージェントの進化に伴って自分の仕事の必要性が薄れると考えており、組織が次の段階に向けた準備をしてくれていると感じていないことは、良い兆候ではない。「これは単なるスキルギャップではなく、リーダーシップの欠如(リーダーシップギャップ)だ」とブリーディスは指摘する。

AI導入の成否は従業員の受け入れ態勢にかかっているため、このようなギャップには注意を払う価値がある。

「リーダーが問いかけるべきは、AIが進化し続ける中で、従業員にどのような能力を身につけてもらいたいか、ということだ」とブリーディスは言う。「AIに対する準備ができている状態(AIレディネス)とは、次にリリースされるモデルを予測することではなく、継続的な学習の文化を作り出し、リスクを取ることを奨励し、人材の再定義を進めることなのだ」

forbes.com 原文

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