私はこれまで、たった一度の会話にすべてがかかっているような、数多くの重要な会議に臨んできた。
戦略的提携の交渉であれ、投資家へのプレゼンテーションであれ、あるいは見込み客との商談であれ、私はリーダーたちが重視するような数字、すなわち顧客獲得コスト、マージン、収益などについて議論する準備を整えていた。しかし、最高経営責任者(CEO)や収益部門のリーダーたちと長年共に働いてきて、そうした成果に影響を与えるもう一つの資産があると確信している。それは四半期報告書には記載されないが、会話の方向性を定め、信頼関係を築き、多くの場合、ビジネスチャンスが前進するかどうかを左右するものだ。
それは「エネルギー」のことだ。その場で最もカリスマ性のある人物である必要はないが、周囲を心地よくさせ、引き込むような雰囲気と存在感をもたらす必要がある。プレッシャーの中でも冷静さを保ち、思慮深い質問を投げかけ、耳を傾け、相手に「自分の話を聞いてもらえている」と感じさせることが重要なのだ。
会議は始まる前に始まっている
この1年間、私は初の台本なしのプロレスリーグ「Real American Freestyle」で、司会(MC)を務め、ファンを盛り上げる機会に恵まれた。Real American Freestyleの公式ビールであるReal American Beerのイベントでファンと交流し、会場を盛り上げる手助けをしてきた。その経験から、Real American Freestyleでも同様のアプローチを求められたのだ。
レスラーがマットに上がるずっと前から、興奮は何週間もかけて高まっていく。ファンはチケットを買い、子どもたちはお気に入りのレスラーにファンゾーンで会えるのを心待ちにし、人々は誰が勝つかを予想する。すべてのイベントの前に、私はアリーナを歩き回り、ファンと会話をするのが好きだ。彼らの熱意が、私自身のモチベーションを高めてくれる。観客の前に立つというよりも、自分もその一部になったように感じられるのだ。そのつながりは、イベントが始まってからの私のコミュニケーション方法を変えてくれる。大人も子どもも含め、多くの人々が何かの一員であることを楽しんでいるのを見て、あるとき少年レスラーとその父親をステージに上げることにした。少年にTシャツを観客席に投げ込んでもらい、彼と父親を紹介すると、会場は大歓声に包まれた。
同じことがビジネスでも起きる。私たちは、会議は誰かが最初のスライドを共有した瞬間に始まると考えがちだ。しかし、最も価値ある会話の一部は、会議が公式に始まる前、他のメンバーを待つ間や雑談の中で交わされている。そうした瞬間は、どんなアジェンダにも表れない形で、人となりや優先事項、さらには企業文化までもをあらわにする。
優れた経営幹部が、最初の数分間をただ質問し、注意深く耳を傾け、その場の空気を掴むことに使う姿を、私は何度も目にしてきた。会議が始まる頃には、参加者は単に聞いているだけではなく、能動的に関与しているのだ。
リーダーシップが空気を決める
リーダー自身が自覚しているかどうかにかかわらず、彼らはチームの「感情の温度」を設定している。ギャラップ社(Gallup)の有名な研究によると、従業員のエンゲージメントのばらつきの約70%はマネージャーに起因するという。これは単なる人事統計データではない。リーダーの振る舞いが、人々が日々どのように仕事に向き合うか、そして最終的にどのように顧客に接するかに直接影響を及ぼすことを示している。
楽観主義、レジリエンス、好奇心、冷静さは周囲に伝染する。それと同時に、不安や不満、否定的な感情もまた伝染する。リーダーが不確実な状況下でも冷静さを保ち、自己防衛に走らずに好奇心を持ち、自信と明確さを持ってコミュニケーションをとることができれば、チームはより主体的に協力し合うようになる。問題解決のスピードも上がる。メンバーは、自分を導くリーダーの姿を手本にしているため、高いエンゲージメントを維持できるのだ。
ギャラップ社の調査では、エンゲージメントの高い組織は、販売生産性が18%向上し、収益性が23%向上することが明らかになっている。さらに、欠勤率の低下や、従業員定着率の向上といった恩恵もある。こうした成果は熱意だけで生まれるものではない。リーダーを信頼する人々は、よりよくコミュニケーションを取り、よりよく協働し、より早く問題を解決し、避けられない困難が訪れても踏みとどまるからこそ、実現するのだ。
エネルギーは戦略の代わりにはならず、存在感は準備の代わりにはならない。しかし、あなたが部屋に持ち込むエネルギーが、相手が会話に前のめりになるか、心ここにあらずになるかを分けることがあるのだ。
実践したい小さな習慣
重要な会議の前に、私は最高の状態で臨むためのいくつかの習慣を身につけた。もちろん、入念な準備は怠らない。数字を把握し、要点を見直し、プレゼンテーションの準備を確実に整える。しかし、会議が始まる約10分前には、プレゼン資料の見直しをストップする。その最後の数分間は自分のための時間だ。ペースを落とし、自分の目的は単に情報を伝えることではなく、信頼関係を築くことなのだと自分に言い聞かせる。また、可能な限り早めに到着し、会議が始まる前に参加者と会うようにしている。自己紹介をし、質問を投げかけ、話を聞き、その場にいる人々のことを知るように努める。
時が経つにつれて、私はプレゼンテーションの完成度で会議の成否を判断することをやめた。代わりに、いくつかのシンプルな質問を自分に投げかけるようにしている。
• 彼らは、入ってきたときよりも自信を深めてその場を後にしたか?
• 自分たちの話を聞いてもらえたと感じただろうか?
• 信頼関係は築けただろうか?
• 彼らは会話を続けたいと思っているだろうか?
これらの質問は、すべてのスライドが完璧だったかどうかよりも、はるかに優れた成功の指標となっている。
残る印象
リーダーとして、私たちは戦略を洗練させ、業務を改善し、パフォーマンスを測定し、より良い成果を追求するために、数え切れないほどの時間を費やしている。これらはいずれも重要なことだが、私たちの最大のチャンスの一つは、もっとずっとシンプルなものだ。
これまでの私のキャリアにおいて最も重要だった会議を振り返ると、純粋な好奇心から始まり、長期的なパートナーシップへと発展した人間関係のことが思い出される。時間を割いて人々とつながり、エゴではなく自信を持って現れ、信頼関係を築くこと。これらは、これまでのどんなプレゼンテーションやピッチデッキよりも、私のキャリアにおいて多くの扉を開いてきた。
エネルギーが貸借対照表やダッシュボードに表示されることは決してないかもしれない。しかし、ビジネスの世界に何十年も身を置いてきた私は、それがリーダーがどのような場にも持ち込むことができる、最も価値のある資産の一つであると確信している。そして大抵の場合、それこそが、会議が終わってからずっと後まで人々の記憶に残り続けるものなのだ。



