リーダーシップ

2026.08.18 09:16

なぜ優れたリーダーはアクセルではなくブレーキを踏むのか

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リーダーシップにはスピードの問題がつきまとっている。

多くの組織において、誰よりも早く反応し、最も多く会議を設定し、昼夜を問わずメールに返信し、スケジュールを隙間なく埋めるリーダーこそが、最も貢献している存在とみなされがちだ。スピードは効果性の代名詞となっている。しかし、一見生産性が高く見えるこうした習慣こそが、皮肉にも人々が最高のパフォーマンスを発揮することを阻害している可能性がある。

これは、長年にわたりリーダーシップの行動を研究してきたショーン・バンダーホーベンが導き出した結論だ。基調講演者であり、リーダーシップ研究者、そしてワイズマン・グループのパートナーでもあるバンダーホーベンは、アマゾン、グーグル、アドビ、シスコ、リンクトイン、ウェルズ・ファーゴなどの組織と仕事をしてきた。最近の対談の中で、彼は最も高いパフォーマンスを発揮するリーダーが、必ずしも最も動きが速いわけではないことを示す研究成果を共有してくれた。むしろ彼らは、ペースを落とすべき時を驚くほど熟知しているのだ。それは成果を減らすためではなく、最も重要なことに注力するためである。これらのアイデアは彼の新著『PAUSE: How to Lead Brilliant Work in a Busy World(ポーズ:忙しい世界で輝かしい仕事を導く方法)』で掘り下げられているが、私たちの対談は、今日のリーダーがこの研究自体から何を学べるかに焦点を当てた。

皮肉なことに、この研究は「減速」とはまったく関係のない疑問から始まった。バンダーホーベンと同僚たちは、優秀な人材がなぜ最高の仕事をすることに苦労するのかを単純に理解したかったのだ。

「返ってきた答えの多くは、『集中できない。仕事に深く入り込むことが難しい。常に一つのことから次のことへと切り替えている』というものだった」とバンダーホーベンは筆者に語った。「彼らがつかみ取れずにいたのは、最大の優先事項に対する、本当の意味で深く集中した仕事だったのだ」

この発見をきっかけに、4年間にわたる研究が始まった。何百人もの貢献者が参加し、有意義な仕事のためのスペース(余白)を作り出すリーダーと、意図せず気が散る要因を増幅させてしまうリーダーの行動を詳しく説明した。

そこから浮かび上がったパターンは、研究者たち自身をも驚かせるものだった。

「人々が深く有意義な仕事に入るのを支援するリーダーシップ行動として高く評価された上位12の観察可能な行動と、気が散る原因として高く評価された上位12の行動を比較した」とバンダーホーベンは語る。「双方の計24の行動すべてに共通する要素があり、それはスピードだった」

違いは、リーダーが素早く行動したかどうかではなかった。スピードをコントロールする方法を理解していたかどうかだったのだ。

「深い仕事のための余白を作り出すリーダーは、ブレーキを踏み、物事を減速させ、スピードを調整するのが非常に上手だった。その結果、チームは最終的にはるかに速く、しかも正しい方向へと進むことができた」

この知見は、ビジネス界で好まれる決まり文句のひとつ、「行動重視」に疑問を投げかける。

バンダーホーベンは、リーダーには最終的により洗練されたアプローチが必要だと考えている。

「活動は、正しい方向に向かっており、かつ持続可能であるならば良いものだ」と彼は言う。リーダーに絶え間ない行動を促す代わりに、彼は「インパクト重視」を養うことを提唱している。このマインドセットを持つリーダーは、「重要なことはごくわずかであり、優秀な人材が最高の仕事をするには余白が必要である」ということを理解していると、彼は説明した。

この違いは単純に聞こえる。しかし、それを実践することははるかに難しい。

「私自身にとっても確かにそうだ」とバンダーホーベンは認めた。「私は物事を片付けるのが大好きだし、ToDoリストにチェックを入れるのが大好きなのだから」

それも無理はない。組織は即応性を評価する。テクノロジーによって瞬時のコミュニケーションは容易になった。人工知能はさらなるスピードアップを約束する。野心的な人々が、すぐに「イエス」と答え、問題を迅速に解決し、自分の価値を示したいと思うのは当然のことだ。

しかしバンダーホーベンは、リーダーシップにおける最大の盲点のひとつは、生産性を主に個人の責任だと想定してしまうことだと考えている。

「自分がチームと仕事をする方法が、彼らが設定した優先事項に集中する能力にどれほど影響を与えているかについて、自分が無自覚だったことに気づいた」と彼は語った。

この気づきにより、彼の仕事の委任の仕方は根本的に変わった。

彼が気に入っている実践方法のひとつが、「飛び込む前にチューニングする(相手の状況を確認する)」と呼ぶものだ。誰かにすぐに別の仕事を任せるのではなく、まず次のように質問することから始める。「本題に入る前に、今抱えている仕事にはどのようなものがある?」

この質問は、取るに足らないほど単純に聞こえる。しかしこれによって、仕事を丸投げする行為だった委任が、優先順位やキャパシティ、トレードオフに関する対話へと変化するのだ。

同じような意識は、リーダーが意図せずチームを中断させてしまう無数の場面にも及ぶ。

バンダーホーベンの最も印象的な比喩のひとつに、リーダーの「デジタル航跡(引き波)」と呼ばれるものがある。

「自分がスピードボートの船長だと想像してほしい」と彼は言う。「水を跳ね上げる代わりに、メールやSlack、カレンダーの招待などを次々と撒き散らしているのだ」。リーダーにとっては一瞬の中断にすぎない。しかし、他の全員はその航跡を一日中、繰り返し受けることになる。その航跡を認識するには、真の自己認識が必要だとバンダーホーベンは考えている。「自分がどのように他人の邪魔をしているかを認識しなければならない」

彼の研究では、そうした習慣に名前さえ付けられている。一部のリーダーは「小説家」となり、従業員が実行するよりも解読する方に時間を費やすほど長いメールを送る。また、別のリーダーは「水漏れする蛇口」となり、テキスト、メール、チャットメッセージを通じて、中途半端な思考を絶え間なく垂れ流し、全員の注意を何度も細切れにする。こうしたラベルはユーモラスだが、もたらされる結果は深刻だ。

今回の対談で繰り返し浮上したもうひとつのテーマは、「ノー」と言う規律だった。

成功している組織には、必然的に、処理能力を超えるほどの価値ある機会が集まってくる。

「本当に重要なことは、常に多すぎる」とバンダーホーベンは言う。「最も重要なことすべてを実行することはできないのだ」

彼は、元アップル幹部のスチュ・マクレランから共有された教訓を振り返った。マクレランは、ティム・クックが「それにイエスと言うなら、私たちは何にノーと言うのか?」という一見シンプルだが鋭い質問で、一貫して指導部に迫っていた様子を説明した。

バンダーホーベンは、この質問がリーダーに現実を直視させると信じている。新しい取り組みはすべて、有限な注意力、エネルギー、そして組織のキャパシティを消費する。規律あるトレードオフを行わなければ、組織は彼が「活動の堆積」と呼ぶもの、つまり戦略的価値が薄れて久しい後もプロジェクトが残り続ける事態を、徐々に積み上げていくことになる。

この蓄積による現実的な被害のひとつが、会議だ。

バンダーホーベンは、「会議ピンポンルール」を制定したある組織の例を挙げた。これは、互いの空き時間を見つけるために従業員がメールを何度もやり取りすることを禁止するものだ。また、そのチームは各会議に本当に参加する必要があるのが誰なのかを明確にした。これらの控えめに見える変更によって、「文字通り、このチームはわずか1年で数千時間を節約した」という。

バンダーホーベンの研究で最も驚くべき発見は、おそらく従業員のエンゲージメントに関するものだろう。マネージャーが毎月わずか10分間、部下の将来について話し合うだけで、従業員の素晴らしい自発的な努力(貢献意欲)を引き出せることを彼は発見した。

「今取り組んでいる仕事が自分のキャリアや成長にどう役立つのかが明確でない場合、人々が持てる最大限の自発的な努力を発揮することはない」と彼は言う。

その会話自体は、驚くほどシンプルだ。

「彼らにとって、次に目指す素晴らしい、ワクワクするような仕事はどのようなものか。そして、そこにはどのような経験やスキルが必要になるか」

これら2つの質問は、従業員が今日の仕事と将来の志を紐づけるのに役立ち、マネージャーが部下に真摯に向き合っていることを示す一助となる。

バンダーホーベンはまた、ペースを落とすことが必然的にアカウンタビリティ(責任)を弱めるという、よくある前提にも疑問を投げかける。

実際、彼はまったく逆の現象を目にしている。

「ペース配分をするリーダーは、人々に責任を持たせるのが上手な傾向がある」と彼は言う。取り組む優先事項を絞り、仕事量についてより深く考え、現実的なバッファを確保しているため、最後までやり遂げる一貫性がはるかに高い。すべてに「イエス」と言うリーダーは、同時にあまりにも多くの約束を抱え込んでしまい、アカウンタビリティが散発的で予測不可能なものになってしまいがちだ。

おそらく、これこそがバンダーホーベンの研究から得られるより大きな教訓だろう。リーダーシップとは、最終的に他の誰よりも速く動くことではない。他の全員が最高のレベルでパフォーマンスを発揮できる環境を整えることなのだ。

「生産性を『個人の生産性を引き出す環境を整える責任は自分にある』という観点から捉え直せば、マインドセットをアップグレードできたと言えるだろう」とバンダーホーベンは筆者に語った。

ビジネス界が今後もさらなるスピードを要求し続けることはほぼ確実だ。テクノロジーは応答時間をさらに圧縮し続けるだろう。AIは、より短い時間でさらに多くのことを成し遂げることを可能にする。しかし、バンダーホーベンの研究は、最も繁栄する可能性が高い組織が、必ずしも最も速く動く組織ではないことを示唆している。それは、スピードが推進力を生み出すのはいつで、単なる雑音(ノイズ)を生み出すのはいつなのかを見極める規律を備えた人々によって率いられた組織なのだ。

加速に取りつかれたビジネス文化において、いつ立ち止まる(ポーズする)べきかを知ることは、リーダーシップにとって最も価値のある競争優位性のひとつとなるかもしれない。

forbes.com 原文

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