私がこれまでに関わってきた、創業者率いるすべての企業には、あらゆる業務が通過する「席」が一つ存在する。創業者の席ではなく、そのすぐ隣にある席だ。この席に座る人物こそが、創業者のビジョンを具現化し、会社を動かしていく。採用、数字の管理、成果物の納品に至るまで、すべてがこの一つの席を経由する。
長きにわたり、私たちはその席をサポート役として扱ってきた。創業者が大きなアイデアを追い求めている間、実務を「滞りなく進める」人物だ。信頼はできるが、戦略的ではない。重要ではあるが、真の専門領域(ディシプリン)とは言えなかった。
しかし、それは急速に変わりつつある。そして、多くの創業者はその変化に追いついていないと私は感じている。
No.2(ナンバーツー)の席は、今や一つの専門職へと進化しつつある。ほかのあらゆる専門職がたどってきたように、標準、何が「優れている」かという共通の定義、そして会社の実際の価値への直接的な影響力を持つようになっている。もしあなたが、今でも従来のような方法でその席を埋めようとしているなら、その影響を受けることになるだろう。
過去にも同様の例がある
発展を遂げた役割は、これが初めてではない。かつて財務は、帳簿付けが得意な人が担当するものだった。しかしその後、専門領域へと昇華した。標準が確立され、監査された数値が扱われるようになり、意思決定の場において真の席を確保した。のちに、マーケティングも同じ道を歩んだ。長年、見栄えを良くするためのものだったが、やがて案件発掘(パイプライン)や収益、測定可能な数値を担うようになった。単なる装飾であることをやめ、これもまた専門領域となったのだ。
そして今、実務を統括するオペレーターの番が来ている。No.2であり、日々の業務を切り盛りする人物だ。
ある役割が専門職になるとき、問いは変化する。「誰ならこれを任せるのに信頼できるか?」から、「実際にこれを遂行できるのは誰か?」に変わるのだ。率直に言って、ほとんどの創業者は、いまだに前者の問いに答えている段階だ。
なぜ人選を誤ってしまうのか
その席は、社内で最も在籍期間が長い人物や、チームで最高のパフォーマンスを上げている人物、あるいは会社の立ち上げを支えた忠実な腹心に与えられがちだ。彼らは優れた人材であり、信頼を勝ち得てきた人々である。その論理は、その席がサポート役であったときには理にかなっていた。しかし、その席が専門領域となった今、その論理は破綻する。
なぜなら、その席が求めているのは「忠誠心」ではなく、「対応範囲」と「能力」だからだ。あなたのためにどんな障壁をも突破しようとする人物であっても、経験したことのないプレッシャーの下で判断を下さなければならない役割においては、潰れてしまう可能性がある。
肩書を与えたからといって、能力まで備わるわけではない。肩書を与えるのは簡単なことだ。
その席が実際に求めているもの
この席に求められるのは、履歴書の内容ではなく、一連の行動パターンだ。ある人物がその重責を担えるかどうかを見極める際、私は勤続年数を数えたり、肩書を読んだりはしない。以下の点に注目している。
• 情報が不十分な状況でも確かな決断を下し、その結果に責任を持てるか?
• 創業者が同席していない場でも、同僚に対して厳しく責任を追及できるか?
• 「こうすべきだ」という意見を、担当者や期限を明記した具体的な計画に落とし込めるか?
• トラブルが発生したとき、周囲の人々を落ち着かせることができるか、それとも混乱を増幅させてしまうか?
• 部下に当事者意識(オーナーシップ)を持たせているか、それとも自分だけで密かに抱え込んでいるか?
これらはプロフィールには一切現れない。真のプレッシャーに直面したときに、初めてすべてが明らかになる。
内部昇進がしばしば失敗に終わる理由
私がよく目にするパターンがある。創業者が、信頼を置く優秀な人材をNo.2の席に昇進させる。誰もが期待に胸を膨らませる。しかし、1年もしないうちに何かが狂い始める。意思決定は滞り、困難な話し合いは避けられるようになる。創業者は、すでに権限を委譲したはずの業務へと引き戻されてしまうのだ。
これを人物自身の問題と捉えがちだが、通常はそうではない。その人物は、昇進前のポジションにおいて極めて優秀だったのだ。新しく就いた席は、以前の役割では決して試されることのなかった能力を求めていた。本人の人間性の欠陥ではなく、単なるミスマッチだ。しかし、あらゆる業務がその席を経由するため、そのミスマッチは高くつくことになる。
もはや妥協する必要はない
先ほどの財務とマーケティングの例を思い出してほしい。そのストーリーには後半がある。
これらの役割が専門職化したとき、単に要求水準が高くなっただけではない。それらの人材を「獲得しやすく」なったのだ。規模の小さな企業であっても、自社が雇える水準の記帳係と、到底雇えない水準のCFOの二者択一を迫られることはなくなった。マーケティングも同様の道をたどった。
No.2の席でも、まさに今これと同じことが起きている。そして、それによって選択肢が変わる。長年、創業者はジレンマに陥っていた。まだ準備ができていない忠実な部下を昇進させるか、あるいは惹きつけることも、給与を支払うことも不可能なフルタイムの人材を無理に採用しようとするかだ。どちらも妥協に感じられる。そのため、創業者はやむなく妥協していた。
しかし、もはやその必要はない。ある席が専門職化すると、実際にその実務をこなし、困難な決断を下し、実質的なP&L(損益計算書)の責任を負ってきたような人材が、フルタイムではとても採用できないような企業の成長段階でも獲得できるようになる。自社の実力を超えた優秀な人材を、社内で最も重要な席に迎えることができるのだ。
これこそが変化である。安さではなく、質の向上だ。自社で抱えられる予算に合わせた人材で妥協するのをやめ、その席が実際に求めている要件を満たす人材を獲得できるようになる。
成功させるためのアプローチ
まずは、その席を「専門職」として扱うことから始めよう。人材を配置した後にではなく、配置する前に、何が「優れた」状態なのかを定義する。その上で、自分が信頼している人物と、その席が求めている人物との間にあるギャップを直視する。それらが同一人物である場合もあるが、そうでないことも多い。同一人物でない場合、選択肢は3つある。
1. 妥協する。まだ準備ができていない人物をその席に据え、大きな損失を被る前に彼らが成長してくれることを期待する。多くの創業者が自覚のないままこの選択肢を選んでおり、これが3つの中で最もコストが高くつく方法だ。
2. 投資する。フルタイムのオペレーターをフルタイムの報酬で採用し、事業がその段階に達しているかどうかにかかわらず、そのコストを負担し続ける。
3. 外部の「フラクショナル(業務委託)」オペレーティング・リーダーを招き入れる。これは、他の経営幹部の席において市場がすでに実践していることであり、創業者がフラクショナルCFOを採用するのと同じ方法だ。
準備ができているかどうかにかかわらず、この席の専門職化は進んでいる。次の10年で勝利を収める企業は、かつて妥協して選んでいた「忠誠心」ではなく、今まさに求められている「専門領域としてのスキル」によってその席を満たす企業になるだろう。
肩書を与えるのは容易だが、その席は実力で勝ち取らなければならない。そして今回初めて、その席を埋めるために、フルタイムで雇用できる予算内の人材で妥協する必要がなくなったのだ。



