ジェームス・ブレイクは最近、自身のInstagramストーリーズにこう投稿し、現状を率直に表現した。「アーティストなら、2026年にはシステムのあらゆる部分が偽装されていることを忘れてはならない」。彼はこう書き残している。「ストリーミングの再生数は信用できない。レーベルがボットファームに金を払って認知度を上げているからだ。曲が人間によって作られたかさえ信用できない」。そして彼は、その告発よりも心に刺さる言葉で投稿を締めくくった。「おそらく、君は自分が思っている以上にうまくやっている」
彼の言う通りだ。そしてこれは、すべてのアーティスト、レーベル、ベニュー(会場)、フェスティバルが向き合うべき問いを突きつけている。すべてのデジタルシグナルが捏造可能なとき、何が本当に「重要であるか」を教えてくれるのだろうか。
アテンション・エコノミーから参加型エコノミーへ
過去10年間、音楽マーケティングは、ストリーミング再生数、フォロワー数、プレイリスト、インプレッション、リーチに焦点を当てたアテンション(関心)の争奪ゲームだった。これらの指標は不完全だったが、業界が手に入れられる唯一のシグナルだった。しかし、AIの登場により、それらのシグナルはその価値を失ってしまった。
各プラットフォームは対策に乗り出している。Spotifyは、1年間で7500万曲もの「スパムまがい」の楽曲を削除したと報告した。Bandcampは「全体的または大部分がAIによって生成された音楽および音声」を禁止している。Traxsourceは現在、AI支援によるリリースを区別してラベル表示している(開示事項:Traxsourceは筆者の元クライアントである)。
「量」はもはや何の証明にもならない。では、関心が無限に存在する中で、何が価値を持つようになるのだろうか。その答えは「参加」だ。
誰かに自分の音楽をストリーミング再生してもらうのは簡単だ。しかし、誰かに片道3時間かけて自分に会いに来てもらうこと、アナログ盤(レコード)を買ってもらうこと、リスニングパーティーのために行列に並んでもらうこと、あるいは友人に薦めてもらうことは、今でも非常に難しい。そして、これらを偽装することはほぼ不可能だ。
注目すべき5つのシグナル
音楽業界における次の10年は、どれだけ多くの人がコンテンツを見たかではなく、どれだけ多くの人が実際に足を運んだかで測られるようになると筆者は考えている。
1. 存在(プレゼンス):実際に足を運ぶことが新たな指標に
ストリーミングが受動的な関与であるのに対し、その場に存在することは能動的なコミットメントである。今、息の長いキャリアを築いているアーティストは、必ずしも最大のフォロワー数を持つ人物ではない。彼らは、オーディエンスが会場を埋めるためにわざわざ足を運び、リリースサイクルの合間にも消え去ることのない需要を生み出している人々だ。
実務レベルで言えば、測定する対象を再考すべきだ。リピート来場、友人を連れてくる人々、2回以上ライブを観に来てくれたファン。これらこそが、永続するキャリアを示す真のシグナルだ。リスニングセッション、アットホームなショー、ファンミーティングなどを企画し、人々が家を出る理由を作り出そう。
物理的な希少性は資産である。それを意図的に活用するべきだ。
2. 参加(パーティシペーション):単なる観客ではなく、貢献者を育てる
観客は消費するが、真のコミュニティは貢献する。その違いがこれほど重要になったことはない。
AIはコンテンツを数秒で生成できる。しかし、心からその音楽を信じているからという理由で、リミックスを作ったり、新しい人にあなたの音楽を紹介したりしてくれるファンを生成することはできない。そうした参加行為こそが、永続するキャリアを支える真のインフラとなる。
実践においては、単なる消費ではなく、貢献を促すように活動を設計しよう。ファンアートのキャンペーン、コミュニティプレイリスト、リミックスコンテスト、アナログ盤の交換会などが考えられる。これらはファンが自分自身を見つける場所だけでなく、ファン同士が出会う場所であるべきだ。レーベルやアーティストができる最も強力な転換は、自分を中心に観客を集めるのをやめ、ファン同士を引き合わせ始めることだ。それこそが本物のコミュニティである。それ以外はすべて、単なるメーリングリストにすぎない。
3. 視点(パースペクティブ):AIはコンテンツを生成できても、独自の視点は生成できない
音楽はもはや希少なものではない。そうなると、趣味嗜好、意見、あるいは独自の視点がより重要になる。
注目を集めているアーティストは、最も頻繁にリリースを行っている人々ではなく、世界について、そしてなぜそれが重要なのかについて、何かを語るべき言葉を持っている人々であることに筆者は気づいた。エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)は、自身の音楽を中心に壮大な神話を築き上げた。フォー・テット(Four Tet)は、限定アナログ盤のリリースを通じてファンとの関係を深めてきた。フレッド・アゲイン(Fred again..)は、「音楽が共同の日記のように感じられるように」、そしてライブがそこにいる全員で「その夜の雰囲気を一緒に作り上げている」ように感じてほしいという理由から、サンプリングの背景にいる人々を記録した。
実践にあたっては、単なる成果物ではなく、プロセスや視点を中心にコンテンツを構築しよう。影響を受けたもの、決断、そして失敗を共有するのだ。リリースの裏にいる人間の姿を可視化させよう。レーベルにとってこれは、アーティストのナラティブ(物語)に投資することを意味し、レコードをめぐるキャンペーンと、そのアーティストが何者であり、なぜそれが重要なのかという現在進行形のストーリーの両方にスポットライトを当てることである。
4. 所有(ポゼッション):モノは記憶を強化する
アナログ盤人気の復活は、ノスタルジーではない。それは経済原理だ。英国のレコード売上は18年連続で増加している。ストリーミングが支配する市場の中でフィジカルフォーマットが成長しているのは、人々がそこに自分がいたという証し、つまり手に取り、飾り、受け継いでいける何かを求めているからだ。
実務レベルで言えば、標準的なマーチャンダイズ(グッズ)の枠を超えて考えよう。ミニアナログ盤、スタンプが押されたチケット、限定ポスターやポストカード、カセットテープ。会場で配られる使い捨てカメラ。これらはアイデンティティの指標となる。これらはファンに、「私はこれに参加していた」ということを示す具体的な形を与える。モノは記憶になり、記憶はロイヤルティ(忠誠心)になる。そしてロイヤルティこそ、ストリーミング時代が一貫して築き上げることに失敗してきた唯一のものだ。
5. 人(ピープル):不便さ(フリクション)がプレミアムになる
業界が避け続けている不都合な真実が1つある。AIは不便さ(フリクション)を取り除く。ストリーミングはレコード店を排除した。プレイリストはDJを排除した。アルゴリズムは新しい音楽との出会い(ディスカバリー)を排除した。そして今、AIは創作そのものを排除しようとしている。
それにもかかわらず、人々はアナログ盤に40ポンドを支払っている。レコード・ストア・デイ(Record Store Day)に行列を作り、DJを観るために300ポンドを費やし、イビザ島へ飛んでいる。これらすべてには多大な努力が必要であり、まさにその努力が必要だからこそ、それらの価値は高まっているのだ。
不便さ(フリクション)がプレミアムになりつつある。コンテンツが無限に存在する今、それを手に入れるという体験そのものが重要となるのだ。
実務レベルで言えば、オーディエンスと自分の作品との間にあるすべての障壁を取り除くのをやめることだ。キャンペーンに適度な不便さを加えることで、意味が生まれる。限定アナログ盤のリリース、一夜限りのショー、あるいはスマートフォン持ち込み禁止のリスニングイベントなど、その体験の希少性こそがマーケティングなのだ。
次に来るもの
過去10年間、音楽業界はデジタルシグナルを通じて成功を測定してきた。次の10年は、人間らしいシグナルによって測定されるべきだ。
何人があなたの音楽をストリーミングしたかではない。何人が戻ってきたかだ。
どれだけのフォロワーがいるかではない。どれだけの人があなたに会うために旅をするかだ。
あなたのキャンペーンがどれだけのインプレッションを生み出したかではない。あなたが消えてしまったら、何人が気づくだろうか。
これらはAIが捏造することも、買うことも、誇張することもできないシグナルだ。今後繁栄を極めるアーティスト、レーベル、ベニュー、そしてフェスティバルは、テクノロジーを利用して効率化を図り、そこで節約した時間を、いかなるアルゴリズムも代替できないものに費やす人々になるかもしれない。



