ウクライナ侵攻が4年以上に及ぶ中、ロシアは多大な犠牲を強いられている。米シンクタンク戦略国際問題研究所は先月、ロシア軍の死傷者が140万人に及んでいると報告した。今年に入り、同軍の死傷者数は月平均約3万人のペースで増えている。同研究所の推計によると、ロシア軍とウクライナ軍の死傷者数の比率は約8対1に開いている。米シンクタンク戦争研究所は、これほど多大な損失を出しているにもかかわらず、ロシア軍は春から夏にかけての攻勢で「重要な成果を一切上げられなかった」と指摘した。
ロシアの損失は人的資源だけではない。米ニュースサイト、ビジネスインサイダーの報道によると、ウクライナはロシア黒海艦隊の軍艦の「約半分」を損傷または破壊したほか、侵攻開始以来、ロシアは戦車の「少なくとも3分の2」を失った。米シンクタンク大西洋評議会は、ロシアの石油・ガス収入が数百億ドル減少したと推定している。さらに、同国は制裁により数十億ドルの損失を被っている。ウクライナ軍は無人機(ドローン)を用いて石油精製所を攻撃しており、ロシア国内では燃料価格が高騰している。
こうした損失を受け、ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は、同国が労働力不足に陥る可能性を警告した。同国のウラジーミル・プーチン大統領も、自国の景気が減速していることを認めた。
大西洋評議会ユーラシアセンターのアンドルー・ダニエリ副所長は、筆者の取材で次のように説明した。「ウクライナ侵攻はここ半年ほどの間、ロシア国民に日常的な不便を絶えず強いている。ウクライナ軍による製油所への攻撃で、ロシア国内では燃料価格が上昇している。これに伴ってガソリンが不足し、配給制が導入された。同軍の無人機侵入により、ロシア各地で航空便の遅延が常態化している。ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島では、キャンプ場や行楽地が閉鎖された。また、ロシアではインフレ率が再び上昇している」
こうした中、ロシア独立系メディア、メドゥザは6月24日、当局が今秋予定されている連邦議会下院選挙後に新たな動員を行うことについて協議していると報じた。戦争研究所は7月28日、ロシア大統領府(クレムリン)は今後の動員に備え、幅広い選択肢を検討していると伝えられていると報告した。
プーチン大統領は2022年9月、30万人の予備兵の部分動員を発表した。これを受け、侵攻開始から1年以内に100万人近くのロシア人が国外に逃れた。ロシア政府は入隊奨励金や給与を引き上げ、税制優遇措置を設けるなどして志願兵を確保しようとしてきた。だが、こうした努力とは裏腹に、米紙ウォールストリート・ジャーナルは2日、ロシアの志願兵の採用が停滞していると報じた。



