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2026.08.21 12:00

OpenAIとHubSpotは、なぜ個人運営のYouTube配信やニュースレターを買収するのか

Ascannio - stock.adobe.com

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OpenAIは米国時間2026年4月2日、起業家のジョン・クーガンとジョーディ・ヘイズが立ち上げた日刊テック番組TBPNを買収した。TBPNはYouTubeとXで平日毎日3時間の生放送を配信し、テックと金融を扱う番組である。取得額は公表されていないが、フィナンシャル・タイムズは数億ドル(数百億円)規模と報じた。同じ4月には、顧客管理ソフトを手がける米上場企業HubSpotが、AI関連のYouTubeチャンネル17本を抱える教育メディアFuturepediaを買収した

企業はこれまで何年も、スポンサー契約やアフィリエイト提携、短期の宣伝企画に費用を払い、クリエイターが築いた視聴者へ一時的に接触させてもらってきた。だが買収は、期間限定の取り組みでは決して手に入らないものを買い手に与える。視聴者と直接つながる関係、そして番組や記事を作ってきた書き手や演者、その成果を視聴者へ届ける配信の仕組みである。

HubSpotが重ねてきた一連の買収は、クリエイターと組む企業が取るべき手順を示している。まずクリエイターと提携し、その提携を買収前の事前調査(デューデリジェンス)として使う。そして、契約では手に入らない価値が所有によって生まれる段階に至って初めて買う。

HubSpotはメディアを自ら立ち上げる中で、AI分野は買って手に入れた

HubSpotは米マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置く上場企業で、マーケティングや営業、顧客対応の業務を1つにまとめた顧客管理(CRM)ソフトを月額課金で提供している。主な販売先は、他企業を顧客とする中堅規模の事業者である。そのソフトウェア企業が、社内に本格的なメディア事業を抱えている。起点は2021年に買収したビジネス系ニュースレターThe Hustleで、以後もHubSpotは業界向けの小規模メディアを買い足し、自社ネットワークへ組み込んで読者を広げてきた。

メディア部門は、バイスプレジデントのジョナサン・ハントが率いる。ハントはThe Hustleの責任者も兼ねる。キャリアの大半は、Vox Media、ナショナルジオグラフィック、Complexという米メディア企業の内側で過ごしてきた。そして現在は、ソフトウェア企業の内側でメディア事業を動かしている。

HubSpot Mediaが自ら保有するのはYouTubeチャンネル、ニュースレター、ウェブサイト、ポッドキャストで、自社で持つこれらの媒体に加えて約150人の社外クリエイターと組んでいると、ハントは筆者のポッドキャストで語った。

同社が公表する数字では、こうした媒体群が生む接触は月間5000万件を超え、そこから数万件の見込み客が生まれる。見込み客とは、資料請求や登録によって連絡先を残し、営業の対象になりうる相手を指す。ただし、5000万件と数万件はいずれもHubSpot自身が発表した数字であり、接触件数は延べ数であって実際に届いた人数と同じではない。

それでも規模の大きさを見れば、メディアが顧客獲得業務の外に置かれた脇役ではなく、その内側に組み込まれている理由が分かる。

ハントは、事業を広げるたびに自作するか買収するかを判断してきたと説明する。ここでの自作とは、ニュースレターやYouTubeチャンネル、ポッドキャストを自社で新たに立ち上げ、読者を一から集めることを指す。自作を選ぶのは10回のうち9回だと、ハント自身は見積もる。採算面で自作が有利になる場合がほとんどだからだ。

その9割の判断を覆すのが、時間という条件である。自作なら費用は安く済むが、費用よりも時間が重くのしかかることがある。AIメディアのブランドを一から立ち上げれば12カ月や24カ月はかかる。その間にAI分野は先へ進み、HubSpotは置き去りにされる。ハントによれば、HubSpotはそう判断した。そこで同社は、AI分野の日刊ニュースレターMindstreamを2024年に、Futurepediaを2026年に買収した。2社を買ったことで、AIを実務で使う読者層を、ゼロから育てるよりはるかに早く手にした。

次ページ > クリエイターとまず組んで成果を測り、買収するかを決める

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