10月に予定する株式公開へ向けて、アンソロピックの株主が2兆ドル(約318兆円)という価格を口にした。その2日後の米国時間8月14日、同社は巨額の評価額よりも珍しいものを、出資を検討する投資家に見せた。利益が出た四半期である。ブルームバーグが、第2四半期の売上高が115億ドル(約1兆8285億円)を超えたと報じている。前年同期に計上した7億8700万ドル(約1251億円)に対し、14倍を上回る水準だ。同じ資料には、この期間の調整後営業利益が黒字だったことも記されていた。数字は暫定値で監査を経ておらず、目論見書が出るまでに修正される可能性がある。
それでも、これは史上初である。営業損益が黒字になった四半期を投資家の前に置いた最先端AI企業は、これまで1社もなかった。ブルームバーグも報道でこの点を正面から指摘している。3年間、この業界全体へ向けられてきた反論は、この1行が反転することはないというものだった。モデルは世代を重ねるたびに費用が膨らみ、売上高は計算資源の請求書をいつまでも追いかけ続ける。そう言われてきた。今回の開示で最も重要なのは、金額の大きさではなく損益がプラスへ転じたことである。
4月から6月に実際に入った1兆8285億円、ランレートの数値ではない
AI経済は、これまでほぼランレートだけで語られてきた。直近1カ月の販売ペースを12倍し、1年分に引き伸ばした数字である。ランレートは勢いを測る値にすぎないが、今回の開示はそれとは種類が違う。115億ドル(約1兆8285億円)は、4月から6月までに実際に入った金額である。第1四半期の47億3000万ドル(約7521億円)を足すと、2026年上半期に計上した売上高は約162億ドル(約2兆5758億円)になる。投資家が3年間買い続けてきた勢いという物語の背後に、半年分の実売上高が並んだ。
報道で必ず持ち出される比較にも、同じ注意が要る。OpenAIが掲げる400億ドル(約6兆3600億円)超という数字は、年換算のランレートである。しかも両社がこの指標を同じ方法で計算しているとは限らないと、ブルームバーグは注意を促す。この2つを競わせる作業は、ペースと完了した四半期を突き合わせているにすぎない。
売上高の8割はAPIと法人事業、Claude Codeが第2の柱
総額だけでなく、その中身も同じくらい重要である。業界の調査会社によれば、売上高の約80%はAPIと法人向け事業が占める。5月にランレートが80億ドル(約1兆2720億円)を超えたClaude Codeが、最も速く伸びる第2のエンジンだ。これは企業が使った分だけ課金される従量制の売上高であり、契約席数ではなく利用量に応じて増えていく。



