筆者はアップルのApple Watchも長年使っている。Apple Watchはユーザーの生体データを正確に記録して、その結果を脚色することなくユーザーに届けてくれる信頼性の高いスマートウォッチだ。その分、記録されたデータに関連するコメントは事実を伝えることだけに専念する。
もちろんPixel Watch 5が計測するデータも十分に信頼できるが、Androidの「Health」アプリに追加された新機能「コーチに質問」が面白い。今年5月のフィットネストラッカー「Google Fitbit Air」発売に合わせて導入された機能だ。
フィットネスの成果や睡眠サイクルの分析結果についてAIコーチに質問できるほか、体調に関する相談にも対応する。医療目的の機能ではないため、提示される回答は励ましの言葉や「今日はゆっくり休もう」といった一般的なアドバイスにとどまるものの、使い込むほどにAIコーチへの信頼感が少しずつ増してくる。
AIに、もっと自身の健康管理に踏み込んでほしいと考えているユーザーにはグーグルのPixel Watchが向いている。どちらが正解ということはないが、信頼性の高いデータをただ静かに提示するApple Watchと、対話を通じて積極的に意味付けするPixel Watchというスタンスの違いが鮮明に感じられた。
Apple Watchにない魅力を揃えたPixel Watch
ほかにも画像生成AIのNano Bananaを使って、音声コマンドからオリジナルの文字盤を作る「ジェネレーティブ ウォッチフェイス」も面白い。一度のリクエストだけでは狙い通りの絵が生成されないことはあるが、作る過程そのものが楽しく、自分だけの文字盤が端末への愛着を深める。
今回は、Pixelデバイスが搭載するAI関連の機能やサービスを中心に紹介してきた。使い込むほどに実感するのは、ウォッチの「Google Health コーチ」に象徴されるように、AIがデバイスやサービス全体の体験価値を左右する存在になりつつあることだ。
現時点では音声入力を使いにくい場面もあり、AIが先回りして支援したり、操作を自動化したりできる範囲も限られている。それでも、まだ完成していないからこそ、この先の進化が楽しみになる。「AIが賢くなるほど、デバイスを操作する機会は減っていく」。新しいPixelデバイスを試しながら、インタビューでプルナスキー氏が語った言葉をあらためて思い出した。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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