選挙の投開票の手間や時間を大幅に削減する電子投票に期待が寄せられてから、ずいぶん月日が経つが、いまだに投票のDXは進んでいない。だが、香川県善通寺市は、8月30日の香川県知事選挙において、京セラ製の最新式電子投票システム「デジ選」を使った電子投票を行うことを公表した。知事選で電子投票が行われるのは、2002年の岡山県知事選挙(新見市で実施)以来、じつに24年ぶりだ。
日本における電子投票の歴史
2002年2月1日、地方自治体が公職選挙において磁気的記録式投票機を使用することを特例的に認める法律、いわゆる電子投票法が施行された。これにより各自治体は独自の判断で電子投票が可能になり、同年6月23日に、岡山県新見市長および市議選で全国初の電子投票が実施された。

電子投票のメリットは、投開票にかかる手間や時間が大幅に削減されることにある。また、無効票の減少や、字がうまく書けない人も簡単に投票ができるという利点もある。一方で、ハッキングによる得票数の改ざんやシステムトラブルが心配されるほか、導入コストが課題になっている。実際、2003年、岐阜県可児市の市議会議員選挙では、電子投票のシステムトラブルにより投票者数と開票結果に食い違いが出るなどの問題が発生した。選挙の無効を訴える裁判が起こされ、名古屋高裁では無効と判断され、後に最高裁で無効が確定するという事例もある。
2000年初頭には、いくつもの自治体が電子投票を導入し27例の電子投票が実施されたが、上記のような問題により定着はせず、電子投票条例を休止あるいは廃止してしまった自治体が多い。そこで電子投票の第一次ブームは終了した感じだ。現在、日本で電子投票条例を施行しているのは、大阪府四條畷市、宮崎県新富町、今回、香川県知事選に電子投票を決めた香川県善通寺市、そして都道府県では唯一となる香川県の4団体のみだ。
新たな電子投票への期待
今年の3月1日、宮崎県新富町議補欠選挙でも電子投票が実施された。その際に採用された京セラの「デジ選」は、2年前に大阪府四條畷市長および市議補欠選挙で使われたものから大幅にアップデートされたもので、開票時間は5分の1に短縮されている。

新富町議補欠選挙の出口調査では、電子投票の満足度は95.2パーセント、次回の電子投票がよいと答えた人は88.5パーセントにのぼり、町が心配していたデジタルデバイドは問題にならなかったようだ。それというのも、町では、事前にお年寄りを対象に、実機を設置しての模擬投票体験会を開くなど、丁寧な投票方法の説明を行い準備を進めていた。そこでは、なるべくカタカナ用語を使わないよう、タブレットを「触って操作する機械」と呼ぶなどの配慮も見せていた。

世界的にも電子投票は、ハッキングによる不正が心配されるなど、なかなか進んでいない。その点「デジ選」は、インターネットに接続しない完全なスタンドアローンのシステムであるため、ハッキングされる恐れはほとんどないとのことだ。3月の町議補選で電子投票を成功させた宮崎県新富町では、来年の4月に予定されている統一地方選挙において、県議選と町議選を電子投票で一本化したいと意気込みを見せている。
日本の選挙の最大の問題は投票率の低さだろう。電子投票がそこにどれだけ貢献できるかは、まだわからない。それは遠隔投票が実現してからの話になるだろう。その前に、電子投票の安全性と利便性を示す実例を積み重ねる必要がある。第一次ブームから20年の時を経て、技術的にも大幅に進歩した最新システムによる電子投票の第二次ブームが起きるだろうか。
出典:京セラ 善通寺市、香川県知事選挙で京セラの「デジ選®」を採用
電子投開票システム「デジ選®」採用で開票時間が大幅削減。同時に有権者の利便性向上を実現。



